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7/9

side佐藤 美奈

初めて彼と話した頃からどのくらいがたったのだろう。屋上で話し始めた日からどのくらいがたったのだろう。私達は毎日のように屋上に集まってただただ空を見ている時間を共有していた。たまに勉強がどうのとか、先生がどうのとか、友達がどうのだの少しの会話はする時もある。でもただただじっと空を見上げている時間の方が長かった。でもその時間は気まずい空気が流れていなかった。化けの皮を被らなくて良いのだと思える空間からか、それとも違う理由からなのかそれはとても居心地が良かった。

いつもの様に学校の閉園時間になり私達は解散した。

この頃の私はこの後いつも以上に地獄に堕とされることは知るよしもなかった、、、、。


家に帰ると、いつもと違う空気だった。静かすぎる。テレビの音も、食器の音もない。

リビングのドアを開けると、クソ女とクソ男が向かい合って座っていた。間に、見たことのない書類。

「……帰ってたの」クソ女がそう言った。声が震えている。

「ちょうどいい。お前も座れ」とクソ男が言う。すぐに分かった。ああ、壊れるんだ。この家。

そして「離婚する」という声。やっぱりと思った。ははははははははは。この家から愛が無いのは分かっていただろ。何今更話してんだよ。ていうか泣いてんじゃねーよクソ女。ざまーみろ。

「お前はどっちについていくか決めておけ」

ほんとにどうでもいい。誰についていこうが、地獄には変わりはない。

「……わかった」そう答えた自分の声は、驚くほどに冷たかった。


その夜。ベッドに横になっても、眠れなかった。天井を見つめる。今日も、何も変わらない。

そう思っていた。—扉が、開くまでは。


クソ男が何も言わずにどしどしと入って来た。そして私をベットに沈ませた。その瞬間、全身が固まった。


嫌だ。やめて。気持ち悪い。はなせよ!

そう思ったはずなのに、声が出ない。

やめて。その一言すら、喉に引っかかる。クソ男は私の体を舐め回す。


どれくらい時間が経ったのか、わからない。ただ、全部終わったあと。クソ男は、静かに言った。


「お前は俺の娘じゃない」


……は?頭が追いつかない。

「あいつと、あいつの浮気相手の子供だ」

何を言っているのか、理解できなかった。

でも——どうでもいいと思った。

もう、全部。どうでもいい。「消えちゃったんだ」何故か頭の中に思い浮かんだ。

ははははははははは!!!!!!!私は笑った。何で気づかなかったんだ!誰も私のことなんか見てないじゃないか!助けてくれるわけないじゃないか!だってだってこの世界はゴミなんだから!こんなゴミの世界の自分を殺せばいいじゃないか!殺せばきっと解放される!なんでなんでもっと早くやらなかったんだ!

私は笑う。静けさが残っている部屋の中で、、、、、。

あぁでもまぁ死ぬ前に彼には感謝しとこう。明日屋上で最後のときを過ごそう。



いつもの様にヘラヘラ笑ってクラスメートと話す。みんな今日私が死ぬことを知らないんだろうな。当たり前か。みんな自分のことしか見てないんだから。

放課後になりいつもの様に屋上に行く。人生最後の屋上に行く。空はオレンジ色に染まっていた。

そのうち彼も来て何も言わずに隣に腰を下ろして空を見上げた。


「優いつもありがとね」

「急になんだよ」

「別になんとなく」

なんなんだよと笑う彼。ごめんね。優。私はもうこの世界で生きることが出来ない。だから先にいくから、許して。でも大丈夫。君は強いから、、、、。


最後の学校が終わるチャイムが鳴った。「またね」という私。君もあぁと言って帰宅する彼。見えなくなるまで私はもう会うことのない彼の背中をじっと見ていた。


よし、終わりにしよう何もかも、、、、、、、、、、、、


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