side大塚 春斗
俺は人間じゃない。化け物だ。
「お前は出来損ない」「俺の弟じゃない」
と父にも兄にも言われた。そうなのだろう。俺は失敗作の人間、化け物なのだから。
父は有名な病院の脳神経外科の医者。母は有名な弁護士。兄は偏差値のいい高校、大学に行っている。俺は兄と同じ高校を受けたが落ちた。足止めで受けた私立の偏差値はあまり良いとは言えない高校に行っている。どうして俺はこいつらと同じ環境、家庭、血筋で生きているはずなのに俺はなぜここまで出来損ないのだろう。
俺は人の不幸を見たり、聞いたりすることが好きだ。自分以下と思えるからだ。こんなことを思ってしまう俺はとてつもなく性格が悪いのだろうとつくづく思う。でも安心するんだ。自分は下じゃないと。俺よりも下がいるのだと思えるんだ。いや思いたいんだ、、、、、。
朝が来て家族と目を合わせず家を出て学校に行く。外には沢山の不幸が落ちている。泣いている学生、スマホを耳に当てて謝っている社会人。
くくくと声をあげて笑う。おもしろい。ほんと最低だよな。わかってる。でもやめられねーんだよ。
「優!はよ!!課題写させてくんね?!」
とりあえず、いつも通り声かける。化けの皮を被ると周りの奴はみんな俺のことを下で見ない。このまぁ悪くないルックスのせいか女子達も自分から行かずともよってくる。
優は振り返って、笑った。
……こいつの笑い方、ほんと綺麗だよな。俺とは違って。
でも「そんな大声出さなくても聞こえるから」と答えた優の目には光が宿っていなかった。この男はヘラヘラ笑っててもたまに目に光を宿さない時がある。こいつも俺と同じように化けの皮を被っているんだろうな。だから俺はこいつといるのが楽なんだろうな。こいつも俺も同じ化けの皮を被っているのだから。でも俺はいつも思うんだ。こいつもかと思い俺は口角を上げてしまうんだ。安心してしまうんだ。俺は友達の不幸にも笑ってしまうんだ。はっなに考えてんだよ。今更じゃないか。こいつは何があったのか分からない。何を隠しているのか分からない。いや知ろうとしない。不幸が無くなっちゃうから。面白くないじゃん?不幸が無くなると
放課後。
「春斗!!鈴木先生がお前のこと呼んでたぞ〜職員室だってさ。何したんだよw」
と軽くつるんでいる男子に言われた。
「別に何もしてないはずなんだけどなぁ〜」と俺はヘラヘラ笑った。
めんどくせぇー。でもまぁ帰っても何もしないしな。しゃーなし行くか。俺は職員室に向かった。
廊下を歩いているとふと窓から偶然見えた光景に驚いた。屋上で優と美奈ちゃんが隣り合って座っていた。しかもいつものように化けの皮を被って笑っていなかった優に驚いた。でももう1つ違和感があった。美奈ちゃんがいつもの美奈ちゃんじゃなかったからだ。クラスの男子から優しいだの可愛いだの、笑顔が良いだの言われている超絶な人気を持っている美奈ちゃんが何を考えているのか分からない表情で下手くそな笑顔を浮かばせながら何かを見ていた。あぁそうか。彼女もきっと化けの皮を被っているんだと俺は気づいた。優にもきっと不幸があって、彼女にもきっと不幸があるんだろうな。俺はまた口角を上げる。




