表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/20

4.踏み出せた一歩

今日もまた、今朝の出来事を思い返しながら俺は学校の門をくぐった。

でも今朝は昨日とは違い清々しい気分だ。

ちゃんと行動に移せた。

小さな一歩を踏み出した気分だ。


そして、空席を触りながら嬉しそうに俺に微笑む彼女の顔が、脳裏に染み付いて離れない。


「おい、なにニヤニヤしてんだよ」

気づいたら目の前に和希がいた。

「してねーよ」

「いや、してたよ。一人でニヤニヤして俺の呼びかけにも気づかずにさ」

「え、全く気づかなかった。ごめん」

「でも元気そうでよかったわ」

「え?」

「昨日、お前なんかテンション低かったし、そのうえ俺が長々と買い物に付き合わせちゃったからさ。途中俺買い物に必死で気づかなかったけど、帰り際お前すごい疲れた顔してたから悪いことしたなーって」


どうやら俺は、

気持ちを言葉や行動に出さない分、顔にめちゃくちゃ出てるっぽい


「そんなことねーよ、大丈夫」

「ならいいけどさ。で、何ニヤニヤしてたんだよ」

としつこく聞いてくる和希をかわしながら1日を終えた。


翌朝、俺はまた昨日と同じ電車に乗った。

毎日声をかけるのもどうかと思いつつ、ドア近くの席は確保済みだ。


そしていつもの駅で彼女が乗車してくる。

今日は自然に声をかけられた気がする。

声も裏返らなかった。


俺の声を聞いた彼女は昨日の男だと気づいたようで

「度々すみません」と俺の肩に手を置いた。


昨日と同じ席に彼女を案内し。昨日と同じように奥の席に移動しようとした時

「どうぞ」と彼女の隣に座っていたおばさんがニコニコしながら席を空けてくれた。


なんだあのニコニコは

あとは若いお二人でってな感じで去ってったぞ?


座ることを躊躇っていると「座らないんですか?」と不思議そうに彼女が聞いてきたので座らないわけにはいかない。


「失礼します」と彼女の横に腰を下ろす。


んー何か話した方がいいんだろうか?

色々聞きたいことはあるが、ほぼ初対面の人にとこまで聞いていいものか。

とももじもじしていると、彼女から質問が飛んできた。


「学生さんですか?」

「あ、はい、高2です」

「一緒だ!勇気出して声かけてくれたんですよね」

「え、あぁ、まぁ」

「昨日すごく緊張が伝わってきたから」

バレてた

「はい、実は一昨日もその席に座ってたんですけど、何もできなくて」

「あ、そうだったんですね。じゃあ隣に座ってたんですね」

と嬉しそうに彼女は言った。


「あ、はい」

と申し訳なさそうに言うと

「いやいや、なかなかできることじゃないですから。逆の立場だったら勇気出ないですよ」


なんか顔が熱い。

きっと今俺ニヤニヤしてる。


「いやーまぁ、結構頑張りました」

「頑張ってくれてありがとうございます」

「いえいえ」

必死に照れを隠していると、そこで俺の降りる駅に到着してしまった。

もっと話がしたい。


「あ、じゃあ俺降りるんで」

と渋々立ち上がると

「また」と笑顔で手を振る彼女。


また、また声をかけていいと言うことか?

俺も「また」と言い、手を振り返しながら電車を降りた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ