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15.彼女との年越し

大晦日、俺と香ちゃんは年越しイベントに参加するために、地元の神社に来ていた。

屋台で年越しそばを買い、ベンチに2人並んで座る。

年越しまで残り10分少々。

香ちゃんがそばを食べながら話し出す。

「今年はいろんなことがあったなー。特に太陽くんと出会ってから嬉しいことや楽しいことがたくさんあった。色々ほんとうにありがとう」

「俺も香ちゃんと出会ってから色々変わった」

俺は一呼吸置いてから語り出した。

「俺さ、昔からやりたいこと言いたいことを行動に移すのが苦手で、いつも思ってるだけで動けずに終わって後悔ってのを繰り返して。後悔するのわかってるのに、相手にどう思われるかとか考えて怖くなって勇気出せなくて、そんな自分が情けなくて、、、でも電車で香ちゃんに席譲れて、すごく喜んでくれて、その後も勇気出すたびに香ちゃんが嬉しそうに笑ってくれるから、だんだん勇気を出すのが怖く無くなって来て、俺を変えてくれてありがとう」

彼女はうんうんと頷きながらこちらを見つめている。

「あのさ、俺」

とその時、夜空に大きな花火が打ち上がった。

いつの間にか年を越してしまったらしい。

ふと花火から彼女に目線を戻すと、彼女が顔を近づけてきた。

え、待って、心の準備が

と動揺していると俺の耳元で

「今年もよろしくお願いします」。太陽くん

と囁かれた。

花火の音にかき消されないように近づいたのか。

その後心臓のドキドキがなかなか鳴り止まなかった。

思ってることたくさん話せたけど、一番伝えたかったことは言えなかった。


あっという間に冬休みも終わり、また日常が戻ってきた。

電車での彼女はいつも通りだった。

俺は年越しの時を思い出すといまだにドキドキするのに。


そんなある日、俺は葉月の付き添いで映画館に来ていた。

葉月がませてるのか最近の小4はこんなもんなのか、恋愛映画を見たいらしい。

兄と恋愛映画見るってどうなの?

とか考えていると、またもや見覚えのある後ろ姿を発見してしまった。

香ちゃんだ。


しかし、彼女の隣には見覚えのない男性の姿があった。

また危ない男に騙されているのでは、と声をかけようと近づいて気づいた。

その男性も白杖を持っていた。

とても親しげに話していて、初対面には見えない。

悪い人ではなさそうで安心したのと同時に、なんとも言えない不安感が襲ってきた。

俺は黙ってその場を後にした。

案の定、映画の内容なんて全く頭に入ってこなかった。



やっぱり同じ境遇の人の方が話も合うだろうし、共感もできるだろうし、気を遣わなくていいのかもしれない。

所詮俺は彼女のボディガードにすぎないのかも。

そんなことをぐるぐると考えてその晩はあまり眠れなかった。

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