14.楽しいクリスマスになったはずが
クリスマスパーティーの帰り道。
俺は香ちゃんを駅まで送っていた。
「すごく楽しかったー。誘ってくれてありがとね」
「こちらこそ来てくれてありがとう」
その時、横からスマホを見ながら歩いて来た男性が、彼女の白杖につまずいた。
「あっぷねーな。こけるとこだったじゃねーか」
「ごめんなさい」
と頭を下げる彼女。
あれ、この男、どこかで、、、夏祭りで香ちゃんを連れて行こうとした男だ。
向こうもそれに気づいたようで
「お前は、、、あの時はどうも」
と俺を思いっきり睨んだ。
これ以上ここにいるのは危険だと思った俺は、彼女の手を引き立ち去ろうとした。
「おい、まだ話は終わってねーぞ」
と男はなんと彼女の白杖を奪い取った。
「返せよ。それはとても大切なものなんだ」
俺は思わず怒鳴っていた。
「1万出せば返してやるよ」
「お前、、、」
俺は怒りで震えていた。
「ほら、早くしねーとこの棒折っちまうぞ」
「わかった、出せばいんだろ」
と財布を出そうとした時、
「誰かー助けてー」
と彼女が叫んだ。
「おまっ、黙れ」
彼女の絶叫に何事かと集まる人たち。
男は舌打ちをして白杖を投げ捨て、走り去った。
俺はすぐに白杖を拾い彼女に渡した。
「香ちゃん大丈夫?怪我はない?」
「大丈夫。太陽くんこそ。ごめんね、私のせいで」
「香ちゃんは悪くないよ。あいつスマホ見て前見て歩いてなかったから」
「あの人って、もしかして夏祭りに助けてくれた人?雰囲気が全然違ったけど」
俺は少し迷ったが、あの日の男の目的を、なるべく彼女を怖がらせないように話した。
彼女は小さく息を呑んだ。
「すぐに話せなくてごめん」
「ううん、私のことを思って黙っててくれたんでしょ。ありがとね」
と香ちゃんはいつものように優しく笑った。
その後、香ちゃんを家まで送り届けた。
香ちゃんはいつも通り明るく振る舞っていたが、無理をしているように見えた。
それからの冬休み、時々香ちゃんとメッセージのやりとりをしながら過ごした。
あれから外に出ることが怖くなっていないだろうか。
香ちゃんに会いたい。
そう思ったところで和希の言葉を思い出した。「ちゃんと本人に伝えろよ」
俺は勇気を出して、彼女に電話した。
「もしもし、太陽くんから連絡してくるなんて珍しいね。どしたの?」
「あのさ、、大晦日って空いてる?年越しイベントとか一緒に、、、」
「行く!絶対行く」
食い気味に返事が返って来た。
てなわけで、香ちゃんと歳を越せることになった。
嬉しくて一人でにやけてしまった。




