12.俺にとっての花森さんって、、
それから数日後に、スマホが治ったと連絡があり、翌週には電車で会える日常が戻ってきた。
今回のことで、俺の中で花森さんの存在は、ただの通学仲間ではなくなってきていることを自覚させられた。
もっと話がしたい、彼女のことを知りたい、もっと仲良くなりたい。
これは友達としてなのか?そもそも友達と言っていいのだろうか。
「私。大好きなんよねー」
「え?な、な、なにが?」
「だーかーらー、わんちゃん大好きなんだ」
「あ、あーわんちゃんね」
「何びっくりしてんの?話聞いてた?」
「き、聞いてたよ。俺も犬好き」
「そうなんだ!でもうちのマンション犬飼えないんだよね」
「ドックカフェとかは?」
「めっちゃ行きたいんだけど、親は犬苦手だし友達は犬アレルギーだしで、一緒に行ってくれる人いないんだよね」
と残念そうに下を向く彼女。
「・・・行く?」
「え?」
「俺とでよかったら」
「ほんと?いいの?」
「うん、俺も行ってみたいし。あ。でも2人じゃあれだよね。妹も連れて行こうか」
「私は2人でも全然いいけど?」
と照れながら言う花森さん。
「お、おう、じゃあ2人で行くか」
てなわけで、2人っきりで出かける約束をしてしまった。
約束の日、花森さんの最寄りの駅まで迎えに行き、ドックカフェまで数十分歩いた。
こんなに長い間彼女と歩くのは初めてだ。
そもそも、妹以外の女の子と2人で出かけるなんて初めてで、めちゃくちゃ緊張する。
でも彼女はいつも通りで、すごく楽しげで、そんな彼女をみてると心がほぐれていく。
店の前に到着し、扉を開けると、犬の鳴き声で店内は賑やかだった。
犬とコーヒーの匂いが混じり独特の香りが鼻をくすぐる。
「いらっしゃいませー。あれ?サニーじゃん」
と見知った顔が顔を出した。
「優希?なんでここに?」
「バイト始めたんだよ。あ、そちらが噂の花森さん?」
「そうだけど、噂って何だよ」
「はじめまして、神谷和希の妹の優希でーす。お兄ちゃんがね、太陽が女子と仲良くなってめちゃ楽しそうだって、嬉しそうに言ってた」
「おい、余計なこと言うな」
そこで、それまでただニコニコしながら俺たちの話を聞いていた花森さんが口を開いた。
「はじめまして。花森香織です。大空くんにはいつもお世話になってます。で、大空くんサニーって何?」
「優希が勝手につけたわけわからん俺のあだ名だよ」
「わけわからなくないもん。太陽って英語だとsunでしょ?で、サン兄からサニーになったんですよ」
「なるほどね、可愛い」
「でもこの人雨男なんですよ」
花森さん爆笑。
「いいから早く席に案内してくれよ」
「はいはい」とニヤニヤしながら歩き出す優希に連れられ、俺らは席についた。




