公正4
いい加減に相づちを打っていただけなのに、影山氏に気に入られたのには、驚いた。
自分のどこが気に入ったのだろう?
何度思い返しても、気の利いたことを言った覚えもない。
もっと優秀で人気のある男も、あの場にいたのに。
おとなしく自分の話を聞いているだけの司法修習生が気に入って、娘まであてがおうというのなら。
影山氏は、結局その程度の男だったのだろう。
日向は、瑠璃という名の、あのモデルのような令嬢ではなく、もう一人の令嬢と顔合わせをすることになった。
これから一人前の弁護士として働くには、それなりの社会的信用が必要になる。
影山氏は、地域への影響力や人脈があるし、経済力もある。
あっちに請われて結婚するからには、無下にされはしないだろう。
結婚は墓場だと言う男もいるが、相手にもよるだろうし、結婚してみないとわからない。
それに別に墓場まで行かずとも、逃げ道はいくらでもある。
などといろいろ考えた結果、日向は結婚してみることにしたのだった。
幸子と紹介された令嬢は、万事控えめで、楚々とした美人だった。
深窓の令嬢とはこのような人のことだろうか。
この女ならば、おとなしく家庭を守るだろう。
夫に口答えもせず。
日向は、幸子に決めた。
なぜか瑠璃がお色気攻勢をかけてきたのには、正直閉口した。
幸子と真逆の見た目と性格。
派手な顔も、派手な格好も、わかりやすい気の強さも、全部がわざとらしく、うっとうしかった。
こんな女は、振っても振らなくても、だいたいが大騒ぎして、被害者ぶる。
なにか魂胆があって、縁談をぶち壊そうとしているのか。
日向に恥をかかせて、あざ笑うつもりか。
たとえそうだとしても。
幸子と結婚したら親戚になるので、できるだけ穏便に、かわし続けていた。




