公正2
公正は、女に不自由したことがなかった。
イケメンだと言われたことはないし、自分でもこれといって特徴のない平凡な顔だと自覚している。
成績はいいが、積極的に行事などに関わることはしなかったし、身長以外は目立たない。
それなのに、高校二年生の初体験以来、女を切らしたことはなかった。
友人に指摘されて、なぜだろうと自分でも不思議に思ったことはある。
たとえば学校や学年、クラスで一番人気の男がいたら、もちろんその男が一番もてる。
だが、全ての女がその男に群がるというわけでもない。
こいつはダメだと思うようなだらしないヤツでも、女が数人まとわりついていたり。
いい男だからといって、イコールもてる、というわけでもない。
人を笑わせるおもしろいヤツでも、もてたりもてなかったりする。
蓼食う虫も好き好き。
人間の女の好みも多種多様、変幻自在で、よくわからない。
なぜオレがいいの?
ベッドの中で聞いてみたりしたが、彼女らも首をかしげるのだった。
いわく、
声、かな。
落ち着いて、優しげな声。
いわく、
背が高い男が好みなのよ、わたし。
いわく、
あんまりおしゃべりな男は、疲れるのよね。
言葉が足りないくらいが、ミステリアスかもね。
いわく、
顔のいい男は、こっちが気後れしちゃう。
結局よくわからなかったが、女に不自由しないのは、いいことだ。
男は女を求めるようにできているし、なにより女は気持ちがいい。
公正は深く考えることもなかった。
どの女とも長続きはしなかったが、別れる時は合意の上で気持ちよく別れ、後腐れがなかった。
女とはそういうものなのだろう。
女も男が必要で。
とっかえひっかえ試してみて、最終的にだれかと結婚したり、しなかったりするのだろう。
そう、公正は理解した。
女たちから、性のテクニックを教え込まれて。
若い公正は、女というものに、日夜溺れた。
仕送りは十分にあったので、もともとアルバイトをする必要はなかった。
勉強に専念するから、と言って、アルバイトも全てやめてしまった。
二年生が終わるころ、同じ学部の知り合いから、司法試験の勉強会に誘われた。




