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瑠璃7

 夜も()けた。

 若い男たちは声をかけ合い、よろよろと帰り支度を始めた。


 一緒について行きたい。


 そんなことを思った自分に、瑠璃は驚いた。


 しかしこんな偶然は、もう二度とあるまい。

 何とかして次に会う機会を作らねばと、焦燥(しょうそう)に駆られた。



「ひなた君」

 玄関まで彼らを見送りに出た父親が、背の高い彼を呼び止めた。


 一番最後にかがんで靴を履いていた彼は、靴ひもを結び直す手を止めて、振り返った。



 ひなた、というんだ。

 姓だろうか、名前だろうか?



「また、遊びに来なさい」

「ご親切に、ありがとうございます」

 ひなたは、当たり(さわ)りなくほほえんだ。


「いやいや、リップサービスじゃなくてだね、」

 父親は、なおも食い下がった。



「うちに、適齢期の娘がいるんだが」

 ひなたは、わずかに目を見開いて、ちらっと、父親の背中に半分隠れていた瑠璃を見やった。


 そして間髪(かんぱつ)入れず、いやあ、と笑い飛ばした。


 瑠璃は、固まった。



「こっちじゃない。もう一人いるんだ」

 父親は、ちょっと瑠璃を振り返ってから、幸子の部屋の方を指さした。


「箱入り娘で、自慢じゃないが美人だぞ。

会うだけ会ってくれないか? 

別に、無理強いするつもりはない。…いや、なんというか、すまんな。

気が向いたら、また来てくれ」




 

 ひなたは、またやって来た。

 父母が応対し、幸子がお茶を出して、そのままそこで歓談した。

 瑠璃は、自室で悔しさに爪をかんでいた。


 こんな、番狂(ばんくる)わせ、許せない!

 わたしの方が、先だったのに!

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