瑠璃4
瑠璃のことを、姉と思いたくない、というのだったら、まだ許せる。
そうではなくて、歯牙にかける価値もない相手、卑しい愛人の子だと心に決めている節がある。
そのプライドで自爆したらいい。
卑しい下々のものたちに足蹴にされて、その澄ました顔を憎しみにゆがめればいい。
仲間を使って、物を隠したり、捨てたり、取り囲んで罵声を浴びせたり、学校中にあらぬ下品な噂を流したり、いろいろといじめたが、暴力をふるうことだけはしなかった。
遊び歩いても、口喧嘩しても何も言わない父親が、ケガをしたりさせたりすることだけは、異常に嫌っていたから。
「いいか、女は、顔が命だ。
傷でもついたら、売り物にならん!
どうしようもない男に買いたたかれるのがオチだ!」
瑠璃は、早々と体の方を傷物にしたが。
娘たちの処女を、どれだけ高く売りつけるつもりだったのかはしらないが、瑠璃はそんな商品扱いされるのは、ごめんだった。
自分の処女を投げ売りした瑠璃は、こんなものかと内心がっかりした。
そして、がんこに固い殻をまとっている幸子を、馬鹿にした。
清らかな身体が、どれほどのものだって?
処女をありがたがるなんて、幼稚で自信のない男だけだ。
つまらない男に高値で買われて、得意になればいい。
処女でなくなった後、どれくらい貴重品扱いしてもらえるか、大いに疑問だけど。
瑠璃は、二十歳に、一度結婚した。
短大を出たとたんに、父が見合い話をもってきた。
全く瑠璃の好みではなかったので、そのころつき合っていた男と婚姻届けを出したのだ。
父親は烈火のごとく怒ったが、瑠璃がひと月も連絡を絶つと、折れてきた。




