35話 登場! D・E商会!
前回のあらすじ
住民も町もちょっとずつ健康になってきた
町の外から商人が来たと聞いた私たち。
商人と会うため、アンナちゃん、ゾヴィ夫人と一緒に屋敷の外へ向かっていた。
「ゾヴィ夫人、商人は今どこにいる?」
「この町についてクリア様とお話したいそうで、屋敷の外で待ってますよ~」
「え、なんで私と?」
「……お前、ここの領主だろう」
「あ、そうだった」
まだ自分自身あまり自覚がないんだよねー。
たまに権力振りかざしたりしてるけど。
「ならゾヴィ夫人。あたしたちは応接室で待っているから、商人を呼んできてくれ」
「は~い」
「え、こっちから行かないの?」
「お前は領主であり、魔王軍四天王なんだ。自ら出迎える必要はない」
そういう話になり、私は応接室に移動してソファーに座る。
アンナちゃんは横に立って待機。
「私、商談とかやったことないんだけど……」
普通に緊張してきた。
大丈夫かな?
「そんなオロオロしていたら舐められるぞ。アタシがフォローするから大丈夫だ。お前はどっしり構えていろ」
どっしり構えるとか私のキャラじゃない気がするんだけどなー。
まあ、なんとかなるよね。
そう思っていると、ドアがノックされる。
「クリア様~、商人の方をお連れしました~」
「う、うん。入っていいよ」
ゾヴィ夫人がドアを開ける。
すると、銀髪に黒い肌。
そして、長身で長い耳をした男女二人が入ってくる。
(アンナちゃん。あの二人ってもしかして、ダークエルフ?)
(ああ。エルフと魔族の間に生まれた種族だ)
(は、初めて見た……!)
この世界のダークエルフってそういう設定なんだね。
よく見ると、二人の間に誰かいる。
フードをかぶっていて姿はわからない。
けれど、やけに小さい。
アンナちゃんと同じくらいだ。
「……お主が、新しく四天王になったという人間か?」
フードをかぶった小さい子が前に出てそう聞いてくる。
「そ、そうだけど……あなたは?」
「ワシか? ふ、いいじゃろう。名乗ってやる」
小さい子はフードを勢いよく脱ぎ捨てる。
そしてポーズをとると———。
「聞いて驚け! ワシは何を隠そう、ダークエルフが経営する魔王領随一の商会、D・E商会を束ねる会長! ロリベリア=ババルディ=ヴァルディエルじゃ!!」
「ロリババァじゃん!」
「誰がロリババァじゃ!!」
いや、だって見た目七~八歳くらいのダークエルフだし。
喋り方は妙に大人びてるし。
何より名前がどう聞いてもロリババァなんだけど。
ていうかこの世界、ロリコンって言葉はないのにロリババァはあるんだね。
「ちなみに年齢は?」
「二百歳じゃが何か?」
「やっぱりロリババァじゃん」
「その呼び方やめい!」
そう言われても、それ以外の呼び方が行方不明なんだけどなー。
というか、この子が会長?
「じゃあ横の二人は?」
「こやつらはワシの側近兼護衛じゃ」
彼女がそう言うと、二人は礼儀正しく頭を下げた。
「俺はダンです」
「私はエルです」
二人とも背が高く、似た顔立ちをしている。
「……もしかして、この子の両親だったりする?」
「違うわボケが! 大体こやつらの方が年下じゃ!」
「「よく言われます」」
「バラすな!!」
話を聞くと、どうやら双子らしい。
なるほど、納得だね。
「ロリババァさん、質問があるんだけど」
「じゃからその呼び方はやめろ! ワシの名はロリベリア=ババルディ=ヴァルディエルじゃ!」
「じゃあロリーバさんって呼ぶね」
「勝手に略すな!」
いや、だって長いんだもん。
「D・E商会って、ダークエルフの商会って意味だったりする?」
「そうじゃが何か?」
「名付け方安直だね」
「お主に言われたくはない!」
そうかな? と思っていると、横でアンナちゃんが首を大きく縦に振っていた。
なんでだろう?
「はぁ……はぁ……全く。人間が四天王に選ばれたと聞いてどんな傑物かと思ったら、随分とふざけたやつじゃ」
そう言ってため息をつきながら、ロリーバちゃん……じゃなくて、ロリーバさんは向かいのソファーに座る。
「やれやれ……。魔王様も、どうしてこんな奴を選んだのかのう?」
「……アンナちゃん。なんかこの子、随分偉そうなんだけど?」
「実際偉いからな。正直驚いた……。D・E商会といえば、魔王領で一番大きな商会だ。魔王軍幹部ですら無視できない影響力を持つ」
「え、そうなの?」
さっき魔王領随一の商会とか言ってたけど、本当だったんだ。
「ただ、妙だな。商会のトップ自らこんな辺境へ来るとは……何が狙いだ?」
アンナちゃんが睨むと、ロリーバさんが怪しく笑った。
「クックック。それは……金の匂いがしたからじゃ」
「お、お金?」
「そうじゃ、ワシは金の匂いに敏感でな。この町から大きなビジネスの予感がした。じゃから自ら足を運んだのじゃ」
び、ビジネス……お金……?
「そんなもの、この町にはないよ」
「とぼけるでない。この町は確かに廃れており、価値がないように思える。じゃが、ワシのカンはこれ以上なくビビッと反応しておる」
ロリーバさんはそう言い切る。
もしかして、町の地下に埋蔵金でも埋まってるのかな?
(アンナちゃんはどう思う?)
(なんでお前はわかってないんだ? あいつのカンは正しいぞ)
(え?)
何かあったっけ?
首を傾げて悩んでいると、ロリーバさんが立ち上がる。
「なるほど、ワシらが信用できんということじゃな。まあ、いきなり訪ねてきたワシらを警戒するのは正しい判断じゃな」
何も言ってないのに、勝手に解釈し始めた。
「いいじゃろう。なら、ワシらの誠意を見せるとしよう」
「誠意?」
「そうじゃ。今日はお主らにとっておきの贈り物を用意してきた。屋敷の外に置いてある、ついてきてくれ」
そう言われ、ロリーバさんの後をついていく。
魔王領一の商会が出すとっておきの贈り物。
一体なんだろう?
ちょっとわくわくしてきた。
……しかし、この時の私はすっかり失念していた。
そもそも、魔王領がどんな場所なのかを。
「見るがいい! これがD・E商会会長、ロリベリア=ババルディ=ヴァルディエル直々の贈り物じゃ!!」
「…………え?」
思わず言葉を失った。
ロリーバさんが誇るとっておきの贈り物、それは——。
『ブヒヒヒヒ……』
身長三メートルはある、巨大なオークゾンビだった。
ロリババァダークエルフを出してみました




