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30話 おもてなしでもバランスよく!

前回のあらすじ。


おばさんが健康美女になった

『『『『『ええーー!?!?』』』』』


 広場中にゾンビ達の絶叫が響き渡る。

 まあおばさんゾンビが若々しい美女に変わってたらそりゃ驚くよね。

 声も以前のガラガラ声じゃなくて、若々しくてよく通る声になってるし。


「ふっふっふ、みんな驚いたでしょう」


 そうやってドヤ顔していると———。

 

『おまえー!』

「あなたー!」


 ガシッ!


「え?」

 

 おばさんとゾンビのリーダーが抱き合う。


「どゆこと?」

「あ、クリア様には言ってなかったかしら〜?」

『私達夫婦なんですよ〜』

「ええーー!?」


 初耳なんだけど!?

 こっちも驚かされたよ!


『ところで、なんで妻が生き返ってるんですか~?』

「あ、別に生き返ったわけじゃないよ。新鮮にしたの」

『……そっちのほうが意味わからないんですけど~』

「……言われてみれば確かに。じゃあ説明するよ!」


 まあ私がやったのはゾンビーフと全く同じ。

 おばさんにヘルシークッキングを使ったのだ。

 同じゾンビなら効果あると思って。

 ……まさか近所のおばさんじゃなくて金髪美女に生まれ変わるとは思ってなかったけど。


「……というわけでゾンビのみんな、おもてなしはこれ! みんなを腐った体から新鮮で健康な体へ生まれ変わらせるよ!」

「みんな、この体なら味覚も戻っておいしく料理を食べられるわよ~」

『『『『『『おおおおおお!!!』』』』』


 ゾンビのみんなが歓声を上げる。

 

「じゃあまずはリーダーの人から」

『おねがいしま~す』


 ヘルシークッキングの包丁を手の甲にそっと刺す。

 すると、腐った体がみるみるうちに血色を取り戻していく。

 気が付けば、リーダーのゾンビは軽くひげを生やしたイケオジに姿を変えていた。


「うおー!! まさしく生きていたころのイケメン顔だーー!」

「あなた~!」

「おまえー!」


 ガシッ!


 またメロドラマみたいなやり取りをしている。

 まあそっちはおいといて、ゾンビのみんなを一列に並べて次々と新鮮な体に生まれ変わらせていく。


「うおー! イケメン顔に戻ったぞー!」

「いや、俺のほうがイケメンだ!」

「いやいや、俺のほうが……!」


「顔の偏差値なんてどうでもいいから!」


 そんなやり取りをしながら全員終わったところで――。


「整列! クリア様に敬礼!」

「「「「「敬礼!」」」」」


 リーダーの人を先頭に整列して、私に敬礼する。

 一気に軍隊っぽくなった。

 なんか口調もキリッとしたものに変わってるし。


「よし、じゃあ最初の命令だよ! みんなもBBQを楽しめー!」

「「「「「おおーーーー!!!」」」」」


 ドドドドドドドドド!!!!


 みんなが一斉にBBQの肉へ群がっていく。

 

「うおーー! うまいぞーー!」

「うう……ゾンビでありながらうまい料理を食べられる日が来るなんて……」

「クリア様バンザーイ!!」


 いやーまさかこんなに喜んでもらえるなんて。

 おまけにみんなの忠誠心も手に入れちゃったみたいだし。


「うんうん、本当に良かった」

「おいクリア! 手が空いてるならお前も手伝え!」


 アンナちゃんに大声で呼ばれる。


「あ、ごめん!」


 しまった、手を組んで頷いてる場合じゃなかった。

 急いで肉厚BBQ作りに参加する。

 そしてみんなが肉に舌鼓を打ち、BBQが残り少なくなったところで――。


「よし、そろそろ次の準備を始めるよ! みんな、鍋を持ってきて!」


 スライムたちに指示を出し、みんながデカい寸胴鍋をよいしょよいしょと運んでくる。


「オイ! もうニクがないぞ!」

「……オイラ、もっとニク食べたい」

「クリア様、もっと肉をください!」


 その間に用意した肉が無くなり、ゴブリン、インプ、ゾンビのみんながおかわりを求めてくる。

 

「肉は終わり! 次は野菜だよ!」

「「「ええーー!?」」」


 一斉に不満の声が上がる。


「もっとニク、食わせろ!」

「……オイラ、ニクのほうが……」

「クリア様、そんな殺生なー!」


「ダメダメ! 野菜も食べないと健康に悪いでしょう!」

 

 スライムのみんなが持ってきた寸胴鍋のふたを開ける。

 すると、鍋から湯気と一緒にほんのり甘酸っぱい香りが広場に広がっていく。


「ナンダ? この赤いのは?」

「……血の匂いじゃナイ」

「クリア様、これは?」


「ふっふっふ。これは採れたてのトマトをたっぷり使った野菜スープだよ!」


 鍋の中には真っ赤なトマトをはじめ、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎなど色とりどりの野菜が入っている。


「文句は食べてから受け付けるよ! みんな、手伝って!」


 アンナちゃん、おばさん、クインと一緒にスープをよそい、スラちゃんが触手を伸ばしてみんなに配っていく。


「ほら、食べてみて!」

「……じゃあ一口」


 インプのリーダーがスプーンですくい、一口。

 すると――。


「ア……ア……」

「ど、ドウシタ!?」

「……う、ウマい……!!」

「本当カ!?」


 信じられない顔でゴブリンとゾンビもスープを口にする。


「ナンダこれ!? めちゃくちゃウマいゾ!」

「瑞々しくてとっても美味です!」


「ふっふっふ、そうでしょうそうでしょう」


 トマトの酸味と野菜の旨味を合わせて、さっぱりしてるのにしっかりとした味わいになるよう仕上げたからね!

 

 いつしか領民のみんなが夢中になってスープを啜っていた。

 うんうん、野菜の美味しさもわかってもらえたようで何よりだね。


「「「おかわり!」」」

「無いよ」

「「「ええーー!?」」」


 またみんなから不満の声が上がる。


「食べすぎも健康に悪いからダメ! それに、まだ最後にデザートが残ってるよ!」

「「「え、デザート?」」」


 ふっふっふ。

 グリーンソイルで育てたのは野菜だけじゃないんだよね。

 

「名付けて新鮮フルーツ盛り! みんな、持ってきて!」


 再びスライムのみんなに持ってきてもらったのは、木の器に盛られた色とりどりのフルーツ。

 綺麗にカットしたイチゴにバナナ、ブドウやメロンなどを盛り付け、真ん中に牛乳から作った白い生クリームをたっぷり添える。

 最後に真っ赤なチェリーをちょこんと乗せて出来上がり。


「こ、コレは……本当に食いモノか……?」

「……う、美しい……」

「……あ、甘い! とても美味しいです!」


 みんなはちゃんとした果物を見るのも初めてだったんだろうね。

 鮮やかな色と甘酸っぱいフルーツの味に感動しながら食べている。

 しばらくすると、広場に響いていた食器の音も徐々に少なくなっていく。

 

「ああ、ウマかった……」

「……オイラ、こんなに食事、楽しんだことナイ」

「最高のおもてなしでした……」


 一人残らずみんな満足そうにお腹をさすっている。


「うんうん、みんな私のおもてなし料理を楽しんでくれたようで何よりだよ」


 私の言葉を聞き、ゴブリンとインプのリーダーが顔を見合わせる。


「チ、認めたくナイが……」

「……オイラも、ここまでされると……」


 お、かなりの手応え!

 このままゴブリンとインプのみんなも私を四天王として認めてくれそう!

 でも——。


「みんな、まだ私のおもてなしは終わってないよ!」

「「「え?」」」


 みんなが「あれで料理は最後だったんじゃ?」という顔をする。


「ふっふっふ。いつから私のおもてなしが料理だけだと錯覚していたのかな?」


 思いっきりドヤ顔してみせる。

 

「な、ナンダト!?」

「……これ以上、ナニが……」

「おお、楽しみですねー!」


 ふっふっふ。

 さて、最後の仕上げと行くよ!


「スキル……発動!」

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