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27話 健康は絶対諦めない!

前回のあらすじ


超健康に役立ちそうな牛が爆誕した

 夢の牛ゾンビーフを爆誕させた私たち。

 次の行動に移るため、みんなで屋敷の庭に来ていた。


「よーしみんな、次は野菜を作ろうー!」


 私が意気込む中、みんなが微妙そうな顔をする。


『野菜って必要かしら~?』

「食べないからわからないけど、肉があればいいんじゃないの?」

「そうだな、アタシも野菜より肉のほうが好き……」

「はぁ?」


 なに言ってるんだろうこの三人は?


「みんな、野菜は大事だよ? ビタミン、ミネラル、食物繊維とか、体の調子を整える大事な栄養素が豊富に含まれてるんだよ? 野菜を食べない生活を続けてたら、人なんてすぐ病気になるんだから。そこのところ、分かってる? 肉のほうが美味しいっていうのはわかるよ? たんぱく質も脂質も多く含まれてるし。でもそれだけじゃダメなの。バランスが大事なの。おばさんはゾンビだしクインはスライムだから疎いのはわかるよ? でもアンナちゃんは――」

「わ、わかった! お前の言いたいことはわかったから止めろ!」


 迫るように熱弁したら、アンナちゃんが慌ててそう言う。

 うん、わかってもらえたようで何より。


「で、まずは何をするんだ?」

「まずは屋敷の庭に畑を作ろうと思って」


 屋敷の庭はそこそこの広さがある。

 多少畑を作っても問題はない。


「その前に、種はあるのか?」

「あ、無いや」

「相変わらず勢いだけで生きている奴だな」

「うぐ……」


 アンナちゃんに呆れた目で見られる。

 まあ自覚はしてるけどさ……。


『種ならあるわよ~』

「え、本当おばさん?」

『ええ、こっちよ~』


 おばさんに案内され、庭の倉庫っぽい場所へ行く。


「ここは?」

『備蓄庫よ~。ここにいっぱいあるの~』


 試しに中に入ってみると、確かに種類別に種が入った袋が備蓄庫いっぱいに敷き詰められていた。

 

「すごい! でも種しかないんだけど?」

『種しか残らなかったのよ~』

「どうして種だけ?」

『用意だけはしてたんだけど、結局使わずに残っちゃったのよ~。食料はみんな食べちゃったみたい~』

「……なるほど」


 食料が残っててもヘルシークッキング必須レベルに腐っていただろうし、まあいいや。


「それにしても……」


 確かに種は袋にぎっしり詰まっている。

 でも、どれも古びていて、表面はすっかりシワシワになっている。


「……これ、いつから置いてあったの?」

「十数年前かしらね~」

「……納得したよ」


 こんなのでちゃんと野菜が育つのかな?

 一応ヘルシークッキングの鍋に水を張り、種を入れてみる。

 しかし、変化はない。

 種は食材じゃないから意味がないようだ。


「まあでも、やるだけやってみようかな」


 育たないと決まったわけでもないし、とりあえず備蓄庫にあるトマトの種を一袋持っていく。

 農具もあったので、みんなにクワを一つずつ持ってもらって準備完了。


「よし、早速みんなで土を耕そう!」

「アタシもやるのか?」

「私、力仕事は向いてないんだけどねぇ」

『最近腰がちょっと~』


「もう! みんなやる気出してよ!」


 みんながめんどくさそうな顔をしている中、スラちゃんが体から手をはやしてクワを持ち上げる。


「さすがスラちゃん! 一緒に頑張ろう!」

『……!』


 「任せて!」と言いたげにポヨンとスラちゃんが跳ねる。

 

「よーし、早速やるぞー!」


 二人(一人と一匹)でそれぞれクワを思いっきり振りかぶり、地面に突き刺す。

 すると――


 ガンッ!


「え!?」

『……!?』


 まるで石畳でも叩いたかのような音とともに、クワが手から弾かれる。


「な、なにこの土!?」


 めちゃくちゃ硬い!

 クワが弾かれるとかどんだけ!?


「ど、どうなってるの!?」

『昔から魔王領の土はこんな感じなのよ~』

「え?」


 おばさんがのんびりとした口調で答える。


『数千年前に発生した瘴気の影響で、土がすっかりダメになっちゃったの~。作物もまともに育たないから、畑を作ろうとする人もいなくなっちゃったのよ~』

「そんな前から!?」

『それからずーっと放置されてるから、土もカチカチになっちゃったの~』

「えーー!?」


 どおりで荒廃した大地が広がってるわけだよ!

 こんな土じゃ野菜が根を張るのだって難しいじゃん!


「数千年間誰も畑を作ろうとしなかったの!?」

『育たないから無駄だもの~』

「……それはそうだけど……」


 種ばかり残ってたのは使わないんじゃなくて使えないからだったんだね。


「……どうするんだクリア?」

「きれいな水があっても、土がこれじゃあ野菜は育てられないわねぇ」

「……うう」


 せっかくきれいな水を手に入れたのに、種も土もだめじゃ野菜なんて育つわけがない。

 野菜はもう諦めるしかないのかな……。


「……いや、それは絶対にダメ……!」


 新鮮な野菜は絶対必要だ。

 ヘルシークッキングがあれば少なくとも、私だけは健康的な生活を送れる。

 でも、領民のみんなは不健康なままだ。

 ……そんな状況を放っておくことなんて、私にはできない。


「諦めない……。私は……私は……絶対にみんなを健康にして見せるんだからーー!!」


 そう叫んだ瞬間、体の中から暖かで不思議な力が湧いてくる。


「これって……まさか!」


 最初に『健康第一』が発現した時と同じだ。

 私の気持ちに応えて、スキルが反応してくれている。


「お願い『健康第一』! 私に力を貸して!」


 強く願いながら、空に向かって手を掲げる。

 すると、手の先が光り出し、何かが形成されていった――。

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