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19話 領地改善計画開始!

前回のあらすじ


領民達が不健康すぎた

「今日からみんな、健康的な生活を送ってもらいます!!」


 私が壇上でそう叫ぶと、集まったみんなは一瞬ポカンとして顔を見合わせる。


「言ってるイミ、よくワカラナイ」

「……ていうかアイツ、ダレ?」

『どうやら人間みたいですね~』


 あ、先に名乗るべきだったかな?


「えっと、私はこの領地を治めることになった魔王軍四天王のクリア! そしてこっちはサキュバスのアンナちゃん! 私の補佐役だよ!」

「そういうことだ。お前たちは今日からこいつの指揮下に入ってもらう。なにか異論はあるか?」


 私たちの言葉を聞いた途端、広場がざわつき始める。


「人間ガ四天王?」

「ウソだろ?」

『魔王様は何を考えているんだ?』


 ざわざわした空気の中、さっきのゴブリン部隊のリーダーが前に出る。


「断る。オレたち、人間の命令聞かナイ」

「え?」

「人間、魔族ノ敵。信用デキナイ」


 あ、そう言えば魔族と人間って戦争中だった。

 ゴブリンがそう言うと、二本角のインプも弱々しく手を上げる。


「それに……前ノ四天王、オイラ達を散々こき使ッテ……遊んでばっかダッタ。新しいヤツ来ても……どうせ同じ」

「前の四天王?」

『前の四天王様、お屋敷で酒を飲んで寝てばかりだったのよね~。町の事もほったらかしで何もしなかったのよ~』


 おばさんゾンビが説明してくれる。

 いや、屋敷や町の惨状からロクなことしてないと思ってたけど、本当にダメだった。


『それに~』


 今度は軍服を着たゾンビが前に出る。

 え、まだ何かあるの?


『命令されるなら嫁のようにグラマーで美人な女性のほうが~』

「心底どうでもいいよ!」


 悪かったねロリ体系で!!


「そういうことダ。オレたち帰る」

「……失礼スル」

『グラマーになったら考えてあげますね~』


 そう言って、領民たちは興味を失ったようにそれぞれ帰り始めてしまう。


「いやいや待って! 確かに私人間だけど、みんなの健康のために頑張るよ! 前の四天王みたいにこき使ったりなんてしないから! グラマーは無理だけどさ!」

「ウルサイ、なら役に立つコト、証明してミセロ」

「……口だけなら、なんとでも言エル」

『そもそも健康って言われてもよくわからないですしね~。ではさようなら~』

「待ってみんな!」


 必死に引き留めるも、誰もその場に残ってくれる人は誰もいなかった。


 そして数分後、広場には地面に私とアンナちゃん、そしておばさんゾンビだけが残された。


「うう……誰も話を聞いてくれなかった」

『クリア様大丈夫~?』


 おばさんゾンビが心配そうに声をかけてくれる。


「うん、大丈夫。でもどうしよう……? 誰も言うこと聞いてくれなかったし……」

「聞くわけないだろう」

「え?」


 アンナちゃんが呆れた目をしてこっちを見てくる。


「うまくいくとでも思ってたのか? 魔族が敵である人間のお前に従うわけないだろう」

「ええええええ!?!? じゃあアンナちゃんこうなるって全部わかってたの!?」

「当たり前だ」

「領民が全員不健康だってことも!?」

「……いや、それは」

「前の四天王が無能だったことも!?」

「……流石にそこまでは」

「グラマーじゃないとダメだってことも!?」

「分かるわけないだろう!!」


 何故か逆ギレされた!?

 

「じゃあ、なんで挨拶なんてやらせたの?」

「顔見せは必要だろう。それに、領民と接することでお前がこの土地でやるべきことがわかったんじゃないのか?」

「……そうだね」


 アンナちゃんにそう言われて理解する。

 私のやるべきこと、それは……。


「四天王として、領地のみんなを……全員健康にすること!!」


 あんな不健康集団見てられないもん!

 こうなったら全員意地でも健康にしてやるんだから!


「よし、それを目標に今後はやっていくか」

「……いや、自分で言うのもなんだけどそれでいいのかな?」

「いいんじゃないか? そもそもお前に健康以外の取り柄があるとは思えないしな」

「おっしゃる通りです」


 こうしてこの土地でする方向性が決まったところで、私たちは屋敷に戻って領地改善計画の作戦会議を始める。


「といっても……何をすればいいのかな?」


 町はボロボロだし、そもそもみんなは言うこと聞いてくれないし。


「アンナちゃんの時みたいに私の健康スキルを使ってみんなをもてなすのはどうかな?」

「領民全員か? 合計三百人はいるんだぞ?」

「う……確かに難しいね」

「そもそも根本的解決にならないだろう。さっきゴブリンが言ってたように、お前がこの町のために何か出来るということを証明するしかないんじゃないか?」

「うーん、でもこの町って駄目な部分が多すぎるよね……」


 領民たちはほとんどまともな服着てなかったし、食料は腐ったものばかりだし、家はボロボロだし……。

 うん、衣食住すらまともじゃないね。


「そういえば前の四天王って、どこ行っちゃったの?」

「アタシも知らないな……。前線に駆り出されて、戦死でもしたんじゃないか?」

「そっか、戦争中だもんねー」

『違うわよ~。酔ったまま散歩に出かけてそのまま行方不明になったのよ~』

「なにそれ!?」「なんだそれは!?」


 思ってたよりどうでもよかった!

 

「……なんで魔王様はそんなのを四天王に選んだのアンナちゃん?」

「……最近魔王軍も人員不足だからな……」

「……なんかすごい納得しちゃった」


 私を四天王に任命するくらいだしね。

 それにしてもいい加減だと思うけど。


「話がそれたが、結局どうするんだ?」

「うーん……やっぱ町の問題を一つ一つ解決していくしかないと思うんだ。だからまずは、食料からどうにかしようと思う」


 食事は身も心も健康にする大事な要素だからね。


「誰も飢えていないし、そこは問題ないんじゃないか?」

「ゾンビ肉や萎びた野菜を食べてる時点でアウトだよ!」


 よし、最初はみんなが健康的で安全な食べ物を食べられるようにする。

 これに決定!


「じゃあさっそく行動しよう!」

「具体的にどうするんだ?」

「……どうしよう?」

「お前な……」


 悩んでいると、おばさんゾンビがトレイに木のコップをのせて運んでくる。


『お二人とも~、お話に夢中でのどが渇いたんじゃないかしら~? お水をどうぞ~』


「あ、ありがとうおばさん。げー!?」


 差し出されたコップの水を見た瞬間、思わず目を疑う。

 黄ばんで濁りまくった挙句、小さなゴミのようなものが浮いている。

 いやいや、なにこの水!?

 飲んだら絶対お腹壊すよ!?


「おばさん、こんな水どこから汲んできたの!?」

「町の傍に流れている川からよ~。みんなの飲み水でもあるのよ~」

「え……?」


 それを聞いて川へ案内してもらうと、下水のような匂いがする汚水が流れていた。


「……アンナちゃん」

「なんだ?」

「……予定変更! 先に水をどうにかしよう!」


 こうして、私の領地改善計画は「安全な飲み水の確保」となった。

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