16話 毒沼を浄化しよう!
前回のあらすじ
健康どころか死にかけた
『ここが地下への階段よ~』
私たちはおばさんゾンビに案内してもらって、屋敷の裏手にある地下への階段を見つける。
「ここから毒の沼に行けるんだね」
『クリア様~。本当に行くの~?』
「当たり前だよ!」
トイレから発生した毒ガスで危うく死にかけた私。
アンナちゃんが言うには、魔族のトイレは毒で溶かすタイプがあるらしい。
魔族は丈夫だから、多少毒ガスを吸っても大丈夫なんだって。
うん、健康に悪いどころじゃないね。
アンナちゃんたちが平気でも私にとっては死活問題。
というわけで、私たちは毒沼を浄化するために地下へ行こうとしていた。
「クリア、本当にそのランタンで浄化できるのか?」
「うーん……多分?」
「頼りないな」
「でもきっと大丈夫だよ。毒ガスは浄化できたし」
さっきトイレでキュアシャインを試したら、毒ガスを浄化できたんだよね。
だからきっと沼もどうにかできるはず!
……まあたぶんだけどね。
「よーし、じゃあ行こう!」
アンナちゃんを先頭にし、次におばさん。
最後尾に私という隊列を組んで階段を下りていく。
「なんで行きたがってるお前が一番後ろなんだ?」
「だって怖いし!」
「はぁ……情けない奴だ」
呆れながらもアンナちゃんは先頭を歩いてくれている。
ぷぷ、なんだかんだ優しいね。
そんな感じで三人で階段を下り、その先の通路を進んでいくと、重厚な鉄の扉が目の前に現れる。
「この先が毒沼かな?」
「恐らくそうだろうな。しっかりランタンを照らしておくんだぞ」
「うん、大丈夫」
ランタンは私の意志で光の向きや強さも調節できる。
扉のほうに向けて光を集中し、準備万端。
「よし、開けるぞ」
アンナちゃんがゆっくり扉を開けていくと、中から緑色の毒ガスが溢れ出してくる。
でも、毒ガスはランタンの光に触れると、すぐに浄化されて消えていく。
うん、問題なし。
アンナちゃんが扉を全部開けると、洞窟のような部屋に緑色の沼が広がっていた。
「うわ……ここが?」
なんて毒々しい沼だろう。
沼の表面では泡がぼこぼこと弾け、そのたびに緑色の毒ガスが噴き出している。
「気をつけろクリア。直接触れたら私でもまずい」
「うん、わかった」
ゆっくりと歩いてアンナちゃんの隣に立ち、ランタンをかざす。
すると、じゅ~っと何かが溶けるような音を立てながら、沼が徐々に干上がっていく。
『すごいわ~効果抜群ね~』
「良かった、ちゃんと沼にも効果が……あれ?」
突如沼から緑色の小さな物体が飛び出してくる。
それは地面に落ちると、意志を持つかのように動き出した。
「な、なにこれ?」
「クリア、下がれ。こいつは……ポイズンスライムだな」
「え? スライム?」
丸くてプルプルしてるような可愛い見た目じゃなくて、ねばねばどろっとした感じの気持ち悪い系のスライムだ。
さらに次々と沼から飛び出してきて、気づけば数十匹のスライムに囲まれる。
「クリア、ランタンで浄化はできるか?」
「やってるんだけど……毒は消えるのにスライムだけは変わらない!」
いくらランタンの光を浴びせてもスライムたちに変化はない。
「ゾンビと同じか。やはりお前のスキルは攻撃には使えないみたいだな」
そっか、もし浄化できたらスライムを殺すことになっちゃうもんね。
「アンナちゃん、どうしよう?」
「問題ない。アタシならこの程度の奴ら敵じゃない」
アンナちゃんの体からバチバチとした魔力が溢れ出し、手に雷の鞭が形作られていく。
「吹き飛べ、『サンダーウィップ』」
アンナちゃんが空高く跳び鞭を振るうと、地面に雷が走り、爆発を起こしスライムたちを吹き飛ばす。
「す、すごいアンナちゃん!」
強いとは思ってたけど本当にすごい、かっこいい!
「この程度造作もない」
「クール!」
そんな感じで褒めていると、吹き飛んだスライムたちが再び私たちに向けて這い寄ってくる。
「まだ懲りないのか?」
アンナちゃんが再び鞭を振るおうとすると、スライムたちがその場でピョンピョンと小さく跳び始める。
「アンナちゃん、このスライムたち何かを訴えてるみたいだよ」
「なに?」
でも何が言いたいんだろう?
確か沼を浄化しているところでこのスライムたちは出てきたけど……。
「うーん……あ、もしかして沼を浄化してほしくないの?」
そう言うと、スライムたちが一斉にピョンと飛ぶ。
どうやら合ってたみたい。
「なるほど、おそらくこの沼はスライムたちの家なんだろうな」
『あら~それは困ったわね~。クリア様どうするの~?』
「えっと……」
どうしよう?
このスライムたちから家を奪うのはさすがに気が引けるし……。
でも屋敷の地下に毒の沼がある状態じゃ安心して過ごせないし……。
「別の場所に住んでもらうっていうのは?」
「難しいだろうな。スライムは環境に依存する魔物だ。ポイズンスライムは毒のある環境じゃないと生きられない」
「環境に依存……?」
「ああ、スライムは環境によって変化するからな」
つまり、毒沼に住んでいたからポイズンスライムになったのかな?
だったら、毒を洗い流せば別のスライムになるんじゃ……?
「……アンナちゃん、いい事思いついた! スライムを洗おう!」
「は?」
そもそも毒で出来た体なんて不健康極まりないもんね!
よし、スライム健康作戦開始!




