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13話 私の領地はゴーストタウン!?

今回から第一章開始です。

よろしくお願いいたします


前回のあらすじ

勇者たちは健康的に鍛錬していた



 私の名前は斎藤 久里!

 健康的な女子高生!

 でも、異世界に召喚されて、いつの間にか魔王軍四天王になっちゃった!

 まあなったものはしょうがない!

 今日から名前を変えて、四天王クリアとして頑張っていくよ!

 ……と思ってたんだけど……。


「うわーーー!! たーすーけーてーーー!!」

「うるさいぞ久里! じゃなくてクリア!」


 いきなり心が折れそう!!

 え、なんでかって?

 それは……今アンナちゃんと一緒に、ワイバーンに乗ってはるか上空を飛んでるからだよ!!


「こーわーいー!!」

「クリア、お前高所恐怖症だったのか?」

「そういう問題じゃないから!」


 だって私飛行機にも乗ったことないんだよ!?

 いきなりワイバーンはハードル高いって!

 翼をはためかせるたびグラグラするし!

 空は黒く曇ってて稲光が鳴ってるし!


「ちゃんとベルトついてるから大丈夫だろ?」

「それでも十分怖いから!」


 アンナちゃんは、慣れてそうだけどさ!

 手綱を持ってしっかりワイバーンを操ってるし!


「じゃあアタシに抱き着いてろ」

「そうさせてもらいます!」


 アンナちゃんの背中に必死で抱き着く。

 正直情けないけどしょうがない。

 しばらく抱き着いていると慣れてきたのか、少し落ち着いてきた。


「そういえばアンナちゃん。私達、なんでワイバーンに乗ってるんだっけ?」

「はぁ……恐怖で記憶が飛んだのか? 魔王様に説明されただろう?」


 そう言われて魔王様に言われたことを思い出す。

 

「たしか、手始めに領地を与えるから治めてみろって言われたんだっけ?」

「そうだ、地図を渡すから見てみな」


 アンナちゃんから大きな大陸が描かれた地図を渡される。


「いいか? 大陸の北側が魔王領。南側が人間領だ」


 アンナちゃんが振り返って地図を指でなぞる。


「へぇ、綺麗に分かれてるんだね」

「正確には、大陸の中央を走る大山脈が両国を隔てているんだ」


 そう言って、アンナちゃんは地図の真ん中に描かれた長い山脈を指さす。


「本当だ、大陸の端から端までずっと続いてるね」

「ああ、天然の国境みたいなものだ。おかげで互いの領土には簡単に攻め込めない。長年山脈にある峠や関所を取り合っている状況なんだ」

「なるほど、そこが戦いの中心になっているんだね」

「そうだ。そしてアタシたちが向かっているのはここだ」


 アンナちゃんは魔王領の北東。

 海に近い場所を指す。


「戦地から離れてる場所なんだね」

「いきなりお前に重要な領地を与えるわけないだろうからな。当然だ」

「それでも十分無茶ぶりだけどね」


 領地を治めるなんて私にできるのかな?

 まあ、賢そうなアンナちゃんもいるし多分大丈夫……だといいんだけど。

 

 その後、私たちは黒く曇った魔王領の空を、一時間ほどワイバーンで飛び続けた。

 すると、遠くに小さな町が見えてくる。


「あそこが目的地?」

「そうみたいだな。降りるからしっかり掴まっていろ」


 ある程度町に近づくと、アンナちゃんがそう言ってワイバーンを降下させていく。

 そして、町の中心辺りに着陸した。


「着いたな、降りるぞ」


 アンナちゃんに言われて降りると、ワイバーンが唸りをあげて羽ばたき、空へと飛んでいく。

 

「ここまでありがとねー!」


 手を振ってワイバーンを見送った後、町を改めて見回してみる。


「ねぇアンナちゃん、ここが本当に目的地なの?」

「そのはずだけど……どうかしたのか?」

「どうかしたのじゃないよ!」


 石造りで出来た西洋みたいないかにも異世界っていう感じの町並み。

 だけど、家は所々崩れ、窓は割れ、道には枯れた雑草が生えている!

 というかそもそも人の気配がない!!


「完全にゴーストタウンじゃん!」

「落ち着け、魔王領じゃこれくらい普通だ」

「普通なの!?」

「それによく見ろ、ちゃんと住民はいる」

「え、うわぁ!?」


 アンナちゃんが地面を指差すと、そこには死体が転がっていた。

 しかも肉が茶色く変色して、所々溶けて骨が見えている。


「く、腐った死体……!?」

「ただの死体じゃないよ」

「え、それって……?」

『ウオォォォォ…………!』

「ギャァァァ!?」


 死体がうなり声をあげながらゆっくり起き上がり、びっくりして後ろに転ぶ。


「ぞ、ゾンビ!?」

「どうやらここはゾンビが暮らす町みたいだね」

「なるほど、だから人気が無かったんだね……っていやいやいや!?」


 ゾンビの町なの!?

 ってことはつまり……!


「アンナちゃん今すぐ逃げなきゃ!」

「は? なんで?」

「だって嚙まれたら私たちもゾンビに……!」

「なるわけないだろう!」

「いたぁ!?」


 アンナちゃんに拳骨を落とされる。

 そっか、別にウイルスでゾンビが増えるとかそういうのじゃないんだ。


「よかったー……でも襲われない?」

『あら、別に襲ったりなんてしないわよ~』

「え?」


 さっき起き上がったゾンビが話しかけてくる。

 声はガラガラでよくわからないけど、多分女性かな?


『ただここで暮らしているだけのおばさんゾンビだもの~。噛みついたりなんて野蛮なことはしないわよ~』

「そ、そうなんだ……」


 うわ、思ったより理性的!

 ていうかご近所にいそうなゾンビ!


「そこのゾンビ、こいつの名はクリア。信じられないだろうが魔王様の命令で、今日から四天王としてこの町を治めることになった」


 アンナちゃんがそう言うと、おばさんゾンビは目を丸くする。


『まあ、そうだったの~? でしたら、以前の四天王様が使っていた屋敷へご案内しましょうか~? 新しい領主様をお迎えしないといけませんものね~』

「ああ、頼むよ」

『では、クリア様とお付きの方、こちらへ~』


 こうしてゾンビのおばさんに案内され、私たちは屋敷へ向かうことになった。

 正直不安だ~……。

 

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