第53話 瞳子さん、真っ白になりたい
もう私は、あんな事しません。
心身共にちゃんと自立して、お金目当ての結婚がしたいなんて思いません。
誰でもいいなんて、思いません…。
だから、もう二度とあんな事は繰り返しません。
本当に、心から尊敬し合えて、信じ合えて、尊重し合える人と出会えたら。
その時は、また真っ白な心で、その人と向き合います。
お風呂に入って、髪の毛をドライヤーで乾かしながらそんな事を思った。
30歳過ぎのバツイチ女から、こんなに乙女な心の声が湧き出てくる事に自分でもびっくりしている。
でも、これは大切な私の気付きなんだ。
心の中の"だいじな事メモ"に丁寧に書き置いた。
誰にも言わない。
誰にも言わないから、誰にも笑われる事がないし、誰にも否定する事ができないんだ。
私はただ、この気付きを行動原理にして淡々と生きて行くだけ。
誰かに理解してもらおうとか、知ってほしいとか、そんな事はどうだって良い。
ただただ、私がどう生きていきたいのかが大切で。
自分の部屋に戻り、充電していたスマホを確認する。
久田さんからRainの返信があった。
"来週の土曜日、夜ごはんご一緒してくれませんか?"
うわ…。まさかのお誘い。
来週の土曜日は仕事だけど、18時には終わる。
う~ん…
"はい"
とだけ送った。
すぐに既読がつく。
"良かった!では、19時に須賀町にある◯△▢でもいいですか?"
あ…この前、多恵子さんと忍君と行ったオサレな居酒屋だ。
と思った途端に、◯△▢の"もぐログ"リンクページが送信された。
"はい"
またすぐに既読。
"予約しときました。楽しみにしてます。"
そこで、某サッカー少年漫画のスタンプが送信された。
"予約していただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。"
即既読。そしてスタンプ。
久田さんは、どういうつもりで2回目のお誘いをしているのだろうか?
もし、私が久田さんの期待に応えられなかったら…
まぁ、そんな事考えなくてもいいや。
とりあえずお互いを知る事から。
きっと久田さんも、まだ分からないからお誘いしてくれているんだろう。
沢山話して、お互いに知る事があって…
それからどうなるかは、お互いに分からないけど。




