第51話 瞳子さん、自分と向き合う
"今日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました!"
家に帰ると、久田さんからRainがきた。
"こちらこそ、ご多用の中ありがとうございました。
ナポリタンとケーキセットをご馳走になり、ありがとうございました。"
お礼を返すと、すぐに既読になった。
"いえいえ。また行きましょう。"
返事、早っ。シゴデキ久田さん。
"はい。また今度"
すぐに既読になった。
しばらく画面を見ていたけど、返信なさそうだったのでRainの画面を閉じた。
また、って事は…次はないな。
そう思い、何だか安心してしまう自分が居る。
ベッドの上に転がり、目を閉じる。
初対面の人と半日を過ごし、目の前で食事をする。
そんな事が、こんなに体力と気力を消耗する事だったとは。
年齢のせいか?
それとも、久田さんが爽やか長身メンズだったから緊張した?
私は、極力自分を良く見せようとしていたのかも知れない。
スマホを見ると、まだ返信はなかった。
やさぐれながらも、少し期待している自分がちっぽけで恥ずかしい生き物に思えた。
もうこんな気持ちには、なりたくなかったのにな
しかも、嫌いではないけどタイプでもないと思っている初対面の人に。
好きでもなんでもないけれど、好かれれば私の自尊心は満たされるのか?
何て薄っぺらくて失礼な自尊心なんだろう。
そりゃ、元夫とお似合いだ。
ずっと、心の奥で分かっていた。
私は、当時一人暮らしを続けていくより、誰かと一緒に住んで暮らした方が経済的な事に気付いていた。
そして、あわよくば自分を好きになってくれた人と結婚し、経済的に負担を軽くしたいと思っていた。
そこに元夫が現れた。
誰でも良かった。
ひどい女だ。
元夫は、借金をしてたぶん不倫していて。
私は、経済の安定と世間一般の幸せが目当てで結婚して。
結局は、お互いに、お金目当てだったのだ。
お似合いじゃん。
ずっと、向き合いたくなかったけど。
だって、嫌悪して周りにも"悪なんだ"と吹聴していた存在が、自分そのものだったなんて。
自己嫌悪が可愛いく思えるくらいの不快感だ。
いつの間にか、ベッドの上でそのまま眠っていた。




