4話:白黒パンダ、ふたりは半裸
――いったいこれはどういう状況なのでしょう。
「ううう、わし、なにもしてないのにぃぃぃ」
「はいはい皇帝様、話は署でききますから」
涙ぐみながら、パンダのような色合いをした魔法車の後部座席にのせられる我らが“暗黒皇帝そりまちさん”と、半裸のおまわりさん。
と。
「zzz⋯⋯もう呑めねぇ⋯⋯おいジジイ、あたしの身ぐるみ返せやあ⋯⋯」
その横で、おまわりさんの制服をかぶせられてあおむけで横たわる、おそらく上半身裸の銀髪の女性⋯⋯⋯鬼族が族長、荒姫様ですね。婦警さんが魔法でひょいっと持ち上げると、魔法車に積み込むようです。はい。
「これはいったい、どういう状況なのでしょう⋯⋯?」
木陰で首をかしげるオイチの前で、パトカーは街にむかって発進する。
運転席の男性警官がぺこりと頭を下げるので、軽く会釈すると、後部座席の窓ガラスにへばりついたそりまちさんが、「÷×3×$5々÷÷+28」なにかをうったえかけてくる。
しかし、その車が止まることはなかった――。
「いっちゃいました⋯⋯これは、いつものドンパチ騒ぎではなさそうですね」
アーチタウン帝国の門前にある大草原、そこに残ったのは首をかしげるオイチと、大草原を真っ二つに割るようにのびる“女王の棍棒”のみ。
地下迷宮から地上に戻ったばかりというのに――。
はあ。
気苦労のたえないオイチは、敬愛するマスターを追って、街の中心部にある警察署に足をむけるのだった⋯⋯。




