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第百九十一話

 


(かなり稼げたな)


 今回はレッサードラゴンを倒したことで、いつもよりもワンランク上の収入となった。


 モンスターの素材については、Bランク探索者が相手にするようなものになると、買取額にかなり差が出る。


 摩天楼の第一階層にいるレッサードラゴン(Bランク探索者が相手にする中でも最上位)と佐々木ダンジョンの第二十六階層にいたオーガの素材では、買取額には百万以上の差があった。


「じゃあ、食べようか」


 素材売却でホクホクになった俺たちは、現在、鰻屋さんに来ていた(ソフィは中に入れないので、東雲とソフィは鰻重の弁当だけ買って帰った)。


 目の前にあるのは特上のうな重であり、重箱を開けると、美味しそうなご飯の上に脂ののった極上の鰻の蒲焼が載っていた。


「いただきます」


 全員が待ってましたとばかりに、箸を手に取り、鰻とご飯を口に入れていく。


 鰻の蒲焼と甘いたれが染み込んだご飯を頬張ると、口の中が幸せになる。


 各々が満足げな表情をしており、会話が起きないほどに集中して食べている。


 気づけば、俺の目の間にはからの重箱があり、鰻はおろか、米の一粒すらなくなっていた。


 それは篠森さんも同様であり、全員が追加の注文をする。


 ヴァルだけが三人前の量を追加で頼んでいた。


(いや~美味しかった)


 鰻重に加え、鰻の肝吸いや鰻巻きも楽しみ、全員の腹が膨れる。


 一日中探索を行っていた分のエネルギーは鰻によって、完全に補給されていた。


「じゃあ、今回は俺が奢るんで」


「えっ伊藤君が?私が奢ろうと思ってたんだけど」


「流石にダンジョンの探索もサポートしてもらって、食事も奢らないなんて、俺が落ち着きませんよ」


 Sランク探索者直々にダンジョンの探索をサポートしてもらって、夕食まで奢ってもらう。


 流石の俺もそこまで厚かましいことはできない。


 そもそも、Sランク探索者の一日は非常に貴重だ。


 篠森さんが未踏破ダンジョンの攻略を進めることは日本の経済に影響を及ぼすし、彼女自身が高難易度の階層を攻略することによって、大金を稼ぐことができる。


 むしろ、ここまで付き添ってもらって、こんなことでしか返せていないのが、申し訳ないぐらいだ。


「へ~そっかぁ」


 篠森さんはどこかポカーンと、放心したような表情になる。


 感情表現が豊かな彼女であるが、見たことのない表情であった。


 俺はそんな様子を尻目に、端末を使って、サッと会計を済ませる。


「ごちそうさまでした」


 篠森さんは店を出るまで、終始落ち着かない様子であった。




読者の皆様、いつもありがとうございます。

今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

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東雲が弁当買ってソフィーと帰っているのに店内で重箱を空にしている点について
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