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第百七十四話

 


(いや~圧巻だったな)


 オークション、いざ参加してみると、凄い見ごたえがある。


 ユニークないし高位のモンスターの素材なこともあって、どれもその存在感が凄まじい。


 進んでいくごとに、モンスターの素材もグレードアップしていき、値もドンドン上がっていっているのは見ているだけで興奮しっぱなしだった。


 ハイ・ライカン・スケルトンの素材を誰が落札したのかは気になるが、それがだんだん気にならなくなってくるぐらい、オークションという世界に入り込んでいっていた。


(少し、休憩するか)


「ちょっと外の空気吸ってくるわ」


 俺は席を立ち、VIP専用ルームから出る。一度廊下に出れば、熱気は完全になくなり、身体に溜まった熱を冷ましてくれる。


 廊下を一人で歩いていると、張り詰めた雰囲気を纏った集団がVIP専用の部屋に向かっていた。


(なんだ?)


 怪訝な顔をなんとか抑え、俺は近くのお手洗いに向かう。


 すると、そこでは、マシンガンのような銃器で武装した兵士が立っていた。


「え?」


 奥を見ると、ウェイターの一人が血を流しながら、意識を失っており、ただならぬ状況であることがわかる。


「おい、しゃべるな」


 兵士の数は三人、そのうちの二人が銃口をこちらに向け、脅してきた。


(テロじゃん)


 東京は日本屈指のテロ発生件数を誇る都市である。


 レベルの上昇による人類の超人化に伴い、世界的にテロ事件の数は爆発的に増加した。


 最近、東京におけるテロの発生件数は減少傾向にあったが、元々の発生件数がかなりの数であり、減少傾向であっても、日本トップクラスの発生件数であることに変わりはない。


 東京で生きていれば、数回はテロを目撃することになるそうだが、俺はこれまで巻き込まれたことはおろか、一度たりとも目撃したことすらなかった。


「黙ったまま、手を挙げて、背を向けた状態で壁に身体をつけろ」


 一人の男が銃口を俺の身体に当ててくる。


 服越しなので感覚的には分かりにくいが、男が引き金を引けば、俺の命を奪うことは難しくない。


(マジかぁ)


 銃を突き付けられながら、身体チェックをされる。


 今回はオークション会場に入るにあたって、武器類は全て持ち込めないようになっている。


 身体チェックは会場に入る前にもされたが、まさか、それが仇となるような状況に見舞われるとは思いもしなかった。


(魔術を使えば、簡単に殺せるんだが)


 モンスターを殺すのはそこまで苦ではないが、人殺しは別である。


 そもそも、好んで人を殺したいと思うはずもない。


 テロリストとは言え、できれば命に手をかけることはしたくはなかった。


(よく考えれば、ダンジョンよりマシだしな)


 命の危機に近い状況であるが、俺を殺すつもりなら、さっさと殺していると思うので、この状況はダンジョン探索時にモンスターと対峙している時よりはマシだ。


 血を流しているウェイターも、息はしているので、この状況は最悪ではない。


(東雲たちは大丈夫だろうか)


 そうは思いつつも、仲間たちは心配である。


 東雲なんかはこんな状況でも冷静に行動できそうであるが、ヴァルはテロリストの神経を逆なでしないか、気が気でないからだ。




読者の皆様、いつもありがとうございます。

今後とも、この作品をよろしくお願いいたします。

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