第百七十二話
ヴァルの食事が終わった後、俺たちは指定された観覧席に座り、オークションの開始を待っていた。
オークション会場に到着した段階で、競売に参加するための端末を貰っており、そこに今日の予定や出品されるモンスターの素材が載っている。
そこには、俺たちが長野第五ダンジョンで討伐したユニークモンスター、ハイ・ライカン・スケルトンの素材もあり、自分たちが討伐したモンスターの素材が実際にオークションの品となっていることに得も言われぬ興奮を感じていた。
他にも、様々なモンスターの素材が出品されており、中には竜種のモンスター素材もある。
竜種のモンスター素材は、俺たちが先日討伐したワイバーンのようなものではなく、高位の竜種、ドラゴンの牙や鱗などであった。
ドラゴンの素材は探索者にも人気があり、主に防具として使われる。
軽く、頑丈であり、様々な属性攻撃を通しにくくする、万能の素材として有名であった。
(俺もいつかは竜の防具を身につけるのか)
ドラゴンの素材を使った防具は、素材の持ち込みなしだと、余裕で億はする、というか、下手すると十数億になってもおかしくはない。
ワイバーンよりは上と言っても、竜種にはさらに上の存在がおり、Aランク探索者でも狩ることが困難であることから、数百億円はするだろう。
また、加工するにも相当な技術が必要であり、最低でも一流程度の職人や魔導具師などが手掛ける必要があった。
(順調に行ったらだな)
現時点で、【極光】や【神ノ雷杭】を使わないと、倒すことが難しいモンスターが増えている。
これ以外にも強力な魔術はあるが、モンスターの強さがどの程度のものになるのか、俺の強さが打ち止めになるのか分からない。
ここまで来たら、Aランク探索者を目指したいが、Aランクになるには、単にレベルを上げるだけではなく、実績が必要になる。
未踏破のダンジョンの攻略に携わったり、有名な高難易度ダンジョンの深層に行き、そこを徘徊するモンスターを倒すなど、レベル面だけでなく、直近の貢献についても判断材料となるのである。
(そこは追々だな)
現実的なものが見えてきたからこそ、リスクもより明瞭に可視化されつつある。
それをどう乗り越えていくのかが、今後の課題だろう。
「伊藤さん、真剣な顔をしてますが、何か目ぼしい物でも見つかったんですか?」
「いや、ちょっと将来のことをな」
「せっかく、オークションに来ているんですから、楽しみましょう。太田支部部長もそのために招待状をくれたんですから」
「確かに」
将来のことも大事であるが、目の前のことを楽しむことも大事だ。
特にオークションにVIPで参加することなど、やりたくてもできないことなのだから、精一杯楽しまないとそれこそ、損だろう。
(さて、そろそろだな)
思案しているうちに、いつの間にか司会が舞台に上がっている。
ついに、モンスター素材のオークションが始まろうとしていた。
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