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第百六十八話

 


 オーグルの身長は十メートル、建物なら三階建ての高さだ。


(威圧感が凄いな)


 眼球すら、人間の頭よりもデカく、一瞬、本当にビルと対峙しているような感覚に陥る。


 人間の姿でありながら、サイズには圧倒的な差があるという部分に、現実的な、普段とは異なる恐ろしさもあった。


「【アイス・カタパルト】」「【キュキュイ】」


 俺の【アイス・カタパルト】とソフィの氷属性のブレスが同時に発射される。


 模擬戦では禁止していたが、ソフィも竜種ではあるので、ブレスを吐くことができた。


 無数の巨大な氷の塊、そして、氷のブレスがオーグルに殺到する。


 しかし、オーグルは特に気にも留めていないようで、攻撃を正面から受け止めた。


「カユイナ」


 俺たちの攻撃が直撃しても、オーグルの肌は赤くなるばかりで、出血などはしていない。


 オーグルの頑強さが目立つが、俺たちの攻撃はダメージを与えることではなかった。


(今だ、ヴァル、東雲)


 風のような速さで肉薄していたヴァルと東雲が、オーグルの脛に攻撃を仕掛ける。


「グッ、オマエラ」


 ヴァルと東雲の攻撃は、オーグルの脛を深々と傷つけ、顔を苦悶に歪ませた。


 オーグルの知性はそこまで高いものではなく、目の前の探索者を敵と認識できる程度のものでしかない。


 最初に遠距離攻撃を仕掛けたことで、意識は完全に俺とソフィに固定されており、東雲やヴァルのことは気にならなくなる。


 それを踏まえた上での奇襲であったが、無事成功したようだ。


(問題は次だな)


 ヴァルと東雲の攻撃もかなりのダメージを与えたものの、致命傷ではない。


 このモンスターの恐ろしい所は、その頑丈さと再生力だ。


 タフでデカく、おまけに回復力も高い。


 鈍重なのはネックだが、一撃でもまともに喰らうわけにはいかない実戦で、この耐久力は強敵と呼ぶのに相応しい性能である。


「コロス」


 二人がつけた傷は既に再生を始めており、擦り傷のような状態になりつつある。


 激痛が収まりつつあったのか、顔を真っ赤にして怒りを露にしたオーグルが地面を揺らしながら、距離を詰めてきた。


「ソフィ」


 そのタイミングに合わせて、ソフィが一気に距離を詰める。


 オーグルの巨大な手が、宙を舞うソフィを握り潰そうとしたが、巧みな回避でひらりと躱していた。


(これなんだよな)


 ソフィの強みは空を自在に飛べることである。


 オーグルは単純な動作は容易だし、パワーもあるので、正面切って戦うにはキツイ相手だ。


 だが、ソフィのような攪乱要員がいると、戦いの流れを大きく変えれる。


「コノッ、コノッ!」


 何度も手を伸ばし、ソフィを捕まえようとするオーグルであるが、一向に捕まえられていない。


 ソフィによって、完全に手玉に取られており、俺たちには目もくれていない状態だ。


(今だな)


 俺は手をオーグルの方に向け、魔術を発動する。


「【神ノ雷杭】」


 威力では【極光】すら凌ぐ、裁きの雷が巨人に向かって放たれた。





読者の皆様、いつもありがとうございます。

今後とも、この作品をよろしくお願い申し上げます。

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