449.閑話~冒険者ギルドのゲーム:ウィップゲーム?
『立木仙元』『御宿監物』と、いう医師の名前が出てくる、武田信玄のドラマは秀でている。『医師』が名医だったのか、家中の者が『医師』に敬意を払っていたのか?
詳細は不明ですけど。どちらにしても武田信玄公が戦国時代の傑物だった、証だと愚考します。
だからと言って、他の戦国大名を貶める気はなく。武田信玄が突出していると思うのです。
そもそも物騒な戦国時代には”毒殺”のリスクがあり。未熟な医療で、軽傷・軽い疾病が”悪化”する危険は、さらに高かった。
そのため優れた『医師』を見出し、招聘して、忠誠心を持たせる。どの工程も、かなりの難事であり。
情報収集をして、人脈を活かし、良い雇用条件を提示する。これらだけでも高いコストを必要としますが。
まともな神経をもつ『医師』は”下克上だから、親兄弟で血みどろの争いをする”などという、一族には仕える以前に、近づきたくないでしょうし。移動が徒歩で、治安も悪い戦国時代に、『医師』が雇い主の国・住居に向かうのも命がけです。
こうして様々な障害を乗り越え。莫大なコストをかけて、ようやく得た『医師』の存在を秘匿するのは、当然の自衛行為であり。『寺』の庇護を得られる、僧侶を兼ねた医師でもないかぎり、『名前』が出てこないのは当たり前でしょう。
冒険者。それは未来の英雄ロヴァンにとって、始まりの一歩であり。同時に荒くれ者にもまれる、試練の時でもあった。
「はい、それでは冒険者登録がすみました。
これからのご活躍に期待します^・^」
そういって微笑む受付嬢は微笑みつつも、ロヴァンを値踏みしている。
将来の勇者に期待しているのだろうが。公平であるべきギルド職員が色目を使うなど、明らかに問題ありだろう。
しかしあふれ出るオーラに魅了されるのは‥:
「ようっ!話は終わったのか?」
「誰だっ⁉」
「メルガムさん、声をかけるのは受付から離れてからにしてくれませんか?」
「話が終わったなら、いいじゃねぇか。
ちょっと暇してたから、付き合えよ」
「‥⁉…」
突然、なれなれしく肩を組まれて、ロヴァンは動揺を押し隠す。
そんな若僧の胸中などお見通しとばかり、先輩冒険者はロヴァンを席に座らせ。
「荒くれ冒険者の世界にようこそ‼
難癖をつけるテンプレはないが、身の程ってやつを教えてやろう」
「なっ、何をする気だ!!」
〔英雄になる〕と、いう虚勢・自己暗示が解けて、ロヴァンの声が裏返る。
そんな若僧に、どう猛な笑みを浮かべながら。巨漢の冒険者が『何か』をとり出し、テーブルの上に広げていき。
「なに、大したことじゃねぇさ。
ちょっと『ゲーム』をして親交を深めよう。
コウエンの奴み/*ー:!?」
「・・・ー~」
人名を言った冒険者の横を、『ナニカ』がかすめて飛ぶ。
同時に、背を向けた受付の方から、明確な殺気が放たれ。その場にいる冒険者たち全員の心身を、容赦なく硬直させた。
「メルガムさん…」
「ハイッ!!」
「【恩】のある先達を呼ぶときは、『広焔様』か最低でも『広焔アニキ』と呼ぶべきでしょう。
そんなことも忘れたのですか?」
「忘れてませんっ!
ちょっと昔の癖が出ただけで…;:」
弁明のセリフは2人の冒険者によって遮られる。
まるで重罪人を捕らえるかのように、背後・左右から2人がかりで巨漢の冒険者が取り押さえられ。
「ッ…」
「待ってくれ・;待ってくれェェェー∼-ー」
弁明すら許されず、大の男が引きずられていく。
その光景を呆然と眺めつつも。ロヴァンは何が起こっているか知るべく、周囲の冒険者に声をかけようと‥・・・
「ロヴァン・クレイニーさん」
「ひゃいっ・」
けっして振り向かないようにしていた、『受付』からの声に飛び上がる。
もちろん心的なものであり。身体は呼びかけに従い、壊れた歯車のようにゆっくりと回転した。
「大変、失礼いたしました。
私の名はミスティム・サヴァと申します。このギルドで受付担当者を統括し、『ゲーム』の審判役を務めている者の一人です」
「ロヴァンと申します!戦士として冒険をしようと考えております」
「「「「・・・=・ー-・ー~;-+-・」」」」
微妙な空気が流れる中で、ロヴァンは改めて冒険者のルールを、ミスティムさんに教えられる。
混成都市の冒険者ギルドでは、最近『様々なゲーム』を行うことが奨励され。
『ゲーム』を通じてルールを学び、頭の回転をよくする。先を読んだり、戦いで指揮をする練習をする。
頭を使うのが苦手で、身体能力が武器な者にも『投擲』『アームレスリング』や『掘削・杭打ち競争』など、身体を使った『ゲーム』があり。
勝てば『ご褒美』があり、負けてもペナルティ代わりの『依頼』を受けてもらうだけ。
冒険者になったばかりで、『お金・名声』の両方がないでしょう。
ですから『ゲーム』で好成績を上げて、実力を示したり。仲間たちと交流したり、休養日をすごすのもいいかもしれません。
・・・と、いう話をロヴァンはミスティムさんに教えられ。
この『ゲーム』という仕組みを提案された、【広焔様】の偉大さを懇切丁寧に、みっちりしっかり教えられた。
『創作ゲーム』:言うのは簡単だが、凡人がそれを作るのは難しく。ルールを考え、ルールの抜け穴に対策をするのは、手間がかかる。
少なくとも冒険者ギルドの業務を行う、片手間にできることではない。
〔だから重要なことを三つにしぼる〕
1)安全を重視して、冒険者活動に差し障りが出ないようにする
2)調整役を務める冒険者が『審判』を務められるよう、ルールはシンプルなものにする
3)体が資本の冒険者も楽しめるよう、頭脳だけのゲームにしない
広焔様の提案を骨子にして、いくつか素案が考えられ。
結局、古文書⁇に記された『ゲーム』をアレンジすることが決まり。
「セイッ、セイッ、セイッ!」
「はやく、はやく、はやくっ!!」
水時計・砂時計や『魔術盤』を使い、思考に『時間制限』が設けられたり。
「「フンっ、フンっ、フンっ!」」
「グくッ…」「へっ、もう限界なんじゃないのか?」
暑苦しく『筋トレ』をしながら、『駒』の位置を告げたり。
それでは身体を壊しかねないので、軽めの『筋トレメニュー』をしながらゲームを行う。手袋・ガントレットをはめて、手指を太くした状態で『器用』さを下げつつ、『ダイス』『カード』をあつかう。
他にも革命・カントリールールを追加したり、『仮面』をつけて表情をわからなくするなど。
頭を使う従来のゲームとは異なる、様々なアレンジが考えられ。
「先生よう…もう、あきらめたらどうだ?」
「まだじゃっ!魔術師の名にかけて、このまま・・」
「チェックメイト」
「ぬがぁ~ーー;」
右手と左手で、同時に異なるゲームをさす。複数の盤面で、多面的に頭を使う『ゲーム』も行われ。
遊ぶ金なぞない冒険者たちに、交流・気分転換の場を提供したり。ゲームに熱中しすぎたり、ルールを守れない馬脚を現わす”奴”をあぶりだす。
他にも暇を持て余して”悪さ”をしたり、〔ルールの『ル』の字も知らない〕と、いう”残念”なことが目に見えて減り。
冒険者たちも冒険者ギルドも、それぞれに『ゲーム』を楽しんでいった。
何事にも一長一短があるように、誰かが笑えば、別の場所に不幸をもたらす。
冒険者ギルドで行われるようになった、『アレンジゲーム』も例外ではなく。
『アレンジゲーム』に荒くれ者たちが熱中するようになって、『賭博場』は目に見えて客が減っていた。
無論、『ゲーム』ではなく、賭け事が好きな者は『賭博場』に通い続けるが。
小金を得た冒険者が暇を持て余して、賭け事にハマることは激減したあげく。
〔『運』頼みなゲームなんぞ、俺たちにふさわしくない〕
〔『時間制限』も無い、身体を動かさない、長ったらしいゲームなんて…〕
〔てめぇ、勝ち逃げするんじゃねぇぞ!この前の決着をつけてやる!〕
金のない冒険者どもが、冒険者ギルドで行われるゲーム場に、他の冒険者も引きずり込み。
金を落とさないどころか、ギャンブル狂いから借金漬けにして、盗賊ギルドの『手駒』へ冒険者を堕とす。
その試みは再会の目処すら、全く立たなくなった。
〔”クズ”が賢しらにゲームのアレンジなぞするな!
お前らは金だけ落としていればいいんだ…〕
そう考えたビラドは、冒険者を堕とすための『娼館・オンナ』を見繕おうとしたのだが。
「こいつっ、なかなかやるっ⁉」
「騎士様なんだから、武官将棋ぐらいできないと」
「これが、異国の『ゲーム』なのか‥」
「旦那さんの意見が聞きたいですわ。今夜はコレで楽しみましょう」
「・・・・-・-・」
歓楽街でも多様な『ゲーム』が行われて、金持ちたちの『社交場』と化し。
何故だか街娼の姿も見えず、ビラドの背筋に悪寒が走った。
〔これは『探り』を入れるだけで、危険だ…‥〕
生存本能の警鐘に従い、ビラドは速やかに逃走する。
そうして改めてゴロツキどもを、賭博場に引きすり込むべく知恵をしぼり。
〔冒険者ギルドでのゲームは、”素人”が審判役をやっている。
ならば『裁定』を狂わせて、ゲームをぶち壊せばいい〕
『ディーラー』のことを理解してない、遊びが『賭博場』を脅かしたのだ。
報いを受けるのは当然というものであり、世の中の仕組みを知るいい機会になるだろう。
そう考えたビラドは、さっそく裏工作を仕掛けるべく行動を開始した。
「ギャ*;、ヒグg*、P⁉;*」×6
そして決闘裁判に負けて、ビラドは醜態をさらしていた。
正確に言えば、『捜索』の気配を感じる間もなく。あっさり捕らえられた牢の中では、ボスと黒幕?の2人が半殺しにされて転がり。
そこから決闘裁判に至るまで、いくらもかからなかった。
「”盗賊”ごときが、冒険者ギルドの『ゲーム』に手を出すなんて…
覚悟はできているかしら?」
「や、やめっ‼*?」
受付嬢を束ねるミスティムという女が一本鞭をふるう。
それなりに威力はあるが、『盾』で防げないほどではなく。複数人で囲んでから、接近戦に持ち込めば楽勝なはず。
そもそも受付嬢の『武術』など護身術レベルがせいぜいであり。盗賊でも腕利きの部類な、ビラドたちにかなうはずないのだが。
「てめぇ、卑怯だぞっ!魔女の力を借りたなっ・・」
ビラドの糾弾に対し、ミスティムが嫣然と微笑む。
その笑みはビラドの推測を肯定しており。裏社会の住人としては、自らのマヌケさに歯噛みしたくなったが。
自虐で状況が改善するはずもなく。代わりに『口撃』でミスティムの冷静さを乱そうと、口を開き。
「”魔女”に尻尾を振っている”シャドウ”と同じように、冒険者ギルドも堕ちたものだな!くだらん『ゲー-~
『・・~-・+・』
「ヒっ∼」
恐怖をまぎらわせようと、考えなしに悪口を吐いたバカが『飛翔』を強制させられる。
一応、首にムチが巻き付き、引き寄せられる際に宙を舞ったのだが。高所からならともかく、同じ高さの決闘場でムチをふるい、普通の女の力でそんなことができるはずない。
しかし眼前では釣られた魚のように、成人男性の体が空へと吊られ。
ビラドたちの眼前で上空へと引かれた男から、首に巻き付いたムチが高速でほどかれる。
「*ー*:~!」
ほどけたムチが魔女の手に戻り、間を置かず射出される。浮かんだ身体が墜落する前に、容赦なくめった打ちが行われ。死に体と化した体が受け身もとれず、地面で断末魔の痙攣をしていた。
その有様に、見物客までもが息をのみ。
「P*;g」
正確に急所に衝撃を与えられ、死んだと思われた男が、最期の悶絶をする。
その光景に、誰もがのんだ息を吐くこともできず。
「発言には注意をしなさい。
決闘である以上、死は免れないけれど。せめて安らかにイきたいでしょう?」
「「・・-+~*・*」」「h;*ー」×3
処刑人の言葉とともに、風がうなる音が耳朶をうつ。肩口をナニかがはい回り、革の臭いが鼻孔へと流れ込み。
まるで大量の『ムチ』とヘビの巣へと、迷い込んだ錯覚をビラドたちはしてしまうが。
無論、そんな甘い状況ではなく、処刑人の魔女は明確な殺意を放ち。
そして増大していく恐怖が、容赦なくビラドの心を蝕んでいく。
「うわァアアアーーー」「死んでたまるK-~;*:-;」
一人が自暴自棄の突撃を行い、もう一人が突撃すらできず宙を舞う。
「+g*ッ」×2
そして隠した仕掛け弓を取り出そうとした2人が、ものも言わずに昏倒する。
宙を舞った男は、突撃した者を迎え撃つ肉弾として使いつぶされ。
後に残るのはビラドと腰が引けた数人のみ。
(勝てば解放される)決闘裁判の名を借りた処刑は、それからも粛々と執行されていき。
「さ・て・と」
「;-^ー」
抵抗は無意味で、命乞いは無駄となる。
受付嬢を騙る暴虐は、油断することなくビラドに近づいてきて。
「冒険者ギルドでの『ゲーム』を充実させるため、イカサマOKのテーブルを作りたいのです。もちろん、協力してくれますね?」
その後、『イカサマ』を『ゲームの刺激』に転用する、屈辱の手伝いをビラドは命じられたが。
部下・上司に知り合いも含め、選択の余地など欠片もなかった。
冒険者ギルドの建物で、様々な『ゲーム』が行われるようになり。
冒険者ギルドが少しにぎやかになったり、金欠の連中がささやかな気晴らしを行えるようになった。
そんな『変化』があった横で、冒険者のベイスンは『ゲーム』のテーブルを囲むことなく。
冒険の依頼に注力したものの、冒険者の資格を失おうとしていた。
「この依頼について報告を行う…」
「・・-・ー」
運が悪かったのか、見えない悪意があったのか、ベイスンたちの準備が足りなかったのか?
いずれにしてもベイスンたちのパーティーは半壊したあげく、大半が重傷を負ってしまい。冒険者稼業を引退するしかなく、これからその詳細について、ギルドに報告するのだが。
〔『お遊戯』なんぞ、冒険者がやっていられるか〕と、言っていられた時がなつかしい。
いっそ何もかも投げ出して、行方をくらましたかったが。ベイスンに残る冒険者の矜持が、安易な逃走を許さず。
ベイスンはケガで不自由になった、足を引きずってギルドの受付に向かい。
「‥・ベイスンさん、私と『ゲーム』をしませんか?」
「ハァ¿?」
報告を聞くべき受付嬢から突飛なことを言われ、ベイスンは間抜けな声を出す。
そんなとまどうベイスンに対し、おかしな受付嬢は怪しい提案を繰り返し。
「ほら、ベイスンさんは冒険でしっP*-!;」
「コ・ニ・ファー*?」
「ヒ;;*+‐~‥」
ナニかを言いかけた受付嬢の言動を、受付嬢のボスが殺気を放ち、強制的に停止させる。
「落ち着いてください、統括!」
「ミスティムの姐御っ⁉」
「ご、ゴメンNさい;・」
周囲の反応から、自らの認識が甘かったことを確信する。
『ゲーム』にのめり込んでいた冒険者たちは、迷うことなく臨戦態勢をとり。
受付嬢の一人がギルマスを呼ぶべく、階段をダッシュで登っていく。
その整然とした動作は、ベイスンが理想とする、戦う冒険者の姿に近いものなのだが。
〔勝ち目なぞない〕と、雄弁に語る視線は、彼が理解できる範ちゅうを逸脱しており。
「・・・フゥ…失礼いたしました。
少し前に”害虫”を叩きのめして、殺気だってしまい。冒険者の皆さんにまで、不愉快な思いをさせてしまいました。
しかしベイスンさんのお話は、オープンスペースな受付の場で聞く、内容ではないかもしれません。申し訳ありませんが、別室に場を設けさせてください」
「・・・承知した」
「それとこの場の冒険者のかた、全員に飲み物をふるまってください。
ゲームを中断させた、ほんのお詫びです」
ミスティムの言葉を聞いても、冒険者だちはひきつった笑顔を浮かべるだけ。
誰一人として喜ばないし、ミスティムを責める気配すら発せられず。
絶対に勝てないボスモンスターが引き下がっていくような。破格の幸運で命を拾うような、安堵の空気が流れ。
〔やっぱり行方をくらましたほうが、よかったかもしれない〕
ミスティム様に案内されながら、ベイスンはそんな不可能を妄想した。
「ありがとうございます。
これで、今回の依頼に関する、聞き取りを終わります」
「‥ふう」
受付嬢のボスであるミスティム様から『尋問』を受け。ベイスンは安堵のため息を吐くも、気分はそれほど不快ではなかった。
その理由はいくつかあるが、最大の理由は個室で聴取を受けたからだろう。
ベイスンにとって、今回の依頼はトラウマものの失敗であり。
それをオープンスペースの受付窓口で話すのは、”トラウマ体験”の蒸し返しを、大勢に聞かせることに他ならない。
今回の脚のケガで冒険者をやめるとはいえ、ベイスンにもプライドというものがあり。失敗談を報告するのは、人のいない『個室』であるほうがいい。
そんなことを考えつつも、ベイスンはこれからの暮らしを考え、暗たんたる気分になり。
「それでベイスンさんは、これからどうしますか?」
「どうするって…この脚のケガじゃ冒険者を続けていけない。
引退するしかないだろう」
「・・・冒険をするのが嫌になったのですか?」
「そんなわけないだろう!だけど、このケガでは…」
冒険者として生きていくと、ベイスンのような凡人は〔”無理難題”を課されている〕と、感じることが多い。
受けた依頼は、けっして失敗せず。『装備』が破損しても、赤字にならず。
モンスターを討伐したら、魔境で討伐部位を切り取り、魔物の血の臭いを漂わせて歩く。野外では他の魔物を呼び寄せ、街では人々に白い目で見られ。
さらに最悪なのは『依頼人』であり。
下から上まで、貴賤を問わず依頼料を踏み倒すべく、小細工を弄してくる。
魔物の危険度を偽るなど、序の口であり。危険な魔物と死に物狂いで戦ったのに〔依頼したモンスターと違うから、依頼料は払えない〕などと、悪質な交渉を仕掛けてくることも珍しくない。
そんな苦難を乗り越え、命をかけて厄介事を解決したのに〔がめつく依頼料をせしめていく”人でなし”〕と、冒険者を憎悪の目で見てくる。
そんな依頼人に対し・・・
〔正当な報酬を払うため、娘を身売りする判断をしたのはオマエらだろう〕
〔そんなに女が大事なら、オトコのお前が奴隷になればいい〕
・・・と、言いたくなる本音をしまい込み。
ベイスンたちが”悪者役”になったのは、1回ではきかず。
昨今、始まった『依頼料の分割払い』によって、依頼人への負担が減り。
〔冒険者への”小細工”も減った〕と、油断したのがいけなかったのだろうか?
そんな風に今までため込んでいたものが、あふれそうになったベイスンに対し、美貌の受付嬢?は問いかけてくる。
「何か誤解があるようですが…
私が聞きたいのは、このまま混成都市のギルドで活動し続けるか。
それとも他所の村・街に移るか知りたいのです」
「へっ…?:!」
間抜けな反応をするベイスンに対し、ミスティム様は話しを続ける。
「〔勝敗は兵家の常〕と、言いますし。
冒険者の皆さんも、一度の失敗で全てを失うのは〔無理ゲーム〕と、言うものでしょう。
もちろん不届きな事をしたり、”盗賊”に矜持を売り渡す”奴”が、どうなろうと知ったことではありませんが。
真摯に依頼をこなしている方に、冒険者ギルドは『援助』を惜しみません」
「・・・。-;・^⁺^」
この御方は何を言っているのだろう。冒険というのは極めて過酷なものであり、〔ギルドは依頼の仲介さえしていればいい〕と、いうのが常識だった。
それなのに【援助を惜しみません】と、おっしゃる。
ベイスンは自分の正気を疑い、次に耳にケガをしていないか心配になった。
「もちろん無償で、無制限に援助することは不可能です。
ただウァーテルで続けて活動する意思があるならば、そのケガを治せる可能性がある『ポーション』を取り寄せる。
余所の街に行くなら、知己の方と連絡をとれるまで、最低限の暮らしができるよう仕事を紹介する。
倒れた仲間たちに、せめてもの弔いをしたいなら・・・
ベイスンの常識から考えると、ミスティム様の提案は『夢』のようなサポートだった。
これに”たかったり”すれば、ベイスンの大事なモノが失われる。そもそも受付の窓口のやり取りを見た限り、ふざけたことをやらかせば破滅するのは確定であり。
「すみません。考える『時間』をいただけないでしょうか」
「ええ、落ち着いて考えてください。質問があれば受け付けましょう」
こうしてベイスンの新たな冒険が始まった。
ネタバレ説明:『ウィップゲーム』について
『念動』の糸?・触手?で『鞭』を操る『魔術能力』・・・と、冒険者ギルドには説明している。
眷族C.V.ミスティムがふるう『魔導能力』です。
本当の名は『テイルゲーム』であり。
呪力を仕込んだ『髪』をからめて『ムチ』を器用に操作したり。『ムチ』の力・速さを増大させる。
『呪力を仕込んだムチ』を魔杖に見立てて、様々な『術式』をふるう『魔導能力』であり。
それなりに上位で、他者に『力』を与えるのが得意なC.V.が契約者です。(イリスたちや遙和ではありません)
基本的に中レベルのC.V.に対抗できるほど、強力なチカラではなく。
わりと『からめ手』を使うのですが、『魔力を視れるC.V.』には『からめ手』が見透かされてしまう。
強力な『大魔導』を使うC.V.は『テイルゲーム』を、そういう風に認識していますが。
人間の女性がC.V.に『変成』された、眷族C.V.としてはありえない実力を、ミスティムはもっており。
武闘派C.V.の『ちょっと強い』は、カルチャーギャップですまず。悪党・不届きな冒険者にとって、完全にホラーな存在へとミスティムは成っています。
主に使われる『術式』は以下の三つであり。
『テイルウィップ』について
『鞭術』を強化しつつ、『ムチ』を触手のように操る。
『呪力の髪をからめたムチ』によって『鞭術』を強化しつつ。普通の『ムチ』ではありえない、触手の動きをするムチで位置取りを行い、『鞭術』の弱点対策を行う『術式』であり。
〔ムチの威力なんぞ、たかがしれている〕
〔鞭術など、間合いをつめたら終わりだ〕
そんなことを考えた連中から、敗北していきますが。
触手の動作もできるムチですが、『音速』で引かれるムチの動きも可能であり。
触手の弱点も、普通にフォローしています。
『ムチ』と『触手』、両方の長所を活かし、弱点への対策もしている。
〔どこが『鞭術』なの?〕と、言える者は実力者であり。一般的な暴力をふるう者にとっては、恐怖でしかありません。
『テイルミラージュ』について
ミスティムがふるう『ムチ』のみ限定で、『幻術』を操る。
『ムチ』を見えなくしたり、複数本の『ムチ』を操っているように見せる・・・・・と、いうことになっている『凶悪術式』です。
実際のところ上記だけでも、十分に有用なフェイントが行えるのですが。
『風切り音』『ムチの臭い』などで、聴覚・嗅覚に皮膚感覚も惑わし。
直接、ムチによる『痛み』を与えた者には、『さらなる痛みを急所に与えられる』と、いう恐怖をもたらす。
一対多の状況だと、『痛めつけられた仲間と同様に、自分も痛めつけられる』と、いう恐怖の連鎖を引き起こす。
旅人を惑わし、絶望させた『砂漠の蜃気楼』のように、敵対者の心をへし折るのが『テイルミラージュ』の正体であり。浜辺から見る、海の蜃気楼とは全く関係ありません。
ちなみに『精神防御』もできる武闘派C.V.に、『テイルミラージュ』は通用しませんが。普通にドン引きしてしまい。
ミスティムが戦う不届きなゴロツキだと、『心を折る』と言うより、尊厳を破壊されてしまう。
何とか最初は抵抗できても、痛打を与えられるたびに精神が浸蝕され、阿鼻叫喚が引き起こされます。
『テイルスコーピオン』について
『ムチ』の先端で打った物体を操る。
サソリの尾が瞬時に『毒液』を注入するのをイメージして、『ムチの先端で打った物体』を、操ったり奪ったり、刺したりする『術式』です。
実際のところ『毒』は一切、使わず。
『液体』『砂・泥』を操って、目くらましを行ったり。敵の暗器・切り札を『ポケット・ケース』に吸着させて封じる。そんな使用法がメインとなりますが。
『テイルゲーム』は『呪力をこめた髪』を付与して、主に『ムチ』を操り、魔術の杖とする『魔導能力』であり。
そのうちの一つである『テイルスコーピオン』によって、頭髪が打たれたり。
首筋に『ムチ』がまきついてから、頸動脈に『ムチの先端』がふれると。
頭髪から頭蓋・脳へと『浸蝕』の連鎖がはじまったり。頸動脈が『硬化の付与』で圧迫され、ものも言わずに昏倒する。
『サソリの毒針』にも等しい、8級CV.をも脅かす術式が『テイルスコーピオン』の正体です。
そもそも西洋の”魔女狩り”は、医療行為を独占したい教会関係者が、商売敵の『薬師』を物理的・イメージの両方から抹殺にかかった”凶行”であり。
”物騒な戦国時代とはいえ、日本人はそんな悪行をしませんねw”と、いうのは甘すぎる考えだと思います。
”生臭坊主”どもに、そんな良識は期待できませんし。
”祈祷を行う神主”のヒステリーは、理性を駆逐するでしょう。
親兄弟で争うなら、権力者に仕える『医師』も巻き込まれるでしょうし。”権力に溺れた者”たちが、傷病が回復しないのを〔医師が余計なことをしたから〕と、責任転嫁する愚行も、やらかしたと推測します。
戦の日々で『心的外傷』をかかえ、〔なんで医師は、治療してくれないんだ!〕と、いう不満が爆発するリスクも、普通にあるでしょうし。
これだけ物騒な状況で、『医師』の存在を秘匿するのは、当然の流れでしょう。
しかし、そんな『当然』があった中で、『武田信玄公』は規格外だった。不利な立地だった山国を戦国有数の強国に押し上げた、常識外れを行ったと推測します。




