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サッカークラブメイキング 〜ど素人社長、丸投げされる?〜  作者: 双鶴


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35/55

35話 ラストピース

 翌日。

 三崎陽斗は、まだ薄暗い早朝の旧三間中に立っていた。


 緊張で手が震える。

 だが、逃げる気持ちはもうなかった。


 やがて、グラウンドに大畑悠斗が現れた。


「来ましたね、三崎」


「……はい」


「では始めましょう。

 あなたの“覚悟”を見せてもらいます」


 個別審査が始まった。


 色コールでのムービング。

 判断速度。

 ワンタッチの質。

 ポジショニング。

 走力。


 陽斗は全てに食らいついた。


 息が切れても、

 足が止まりそうになっても、

 顔を上げて前を向いた。


 その姿を、

 十人の選手たちが静かに見守っていた。


「……うまいな」

 颯がつぶやく。


「最初から来てたら普通に残ってたよな」

 直斗が頷く。


「動きの質、問題ありません」

 慎が淡々と評価する。


 最後の走力テスト。

 陽斗は足が震えても、

 地面を蹴り続けた。


 大畑が歩み寄る。


「三崎」


「……はい」


「聞かせてください。

 あなたはなぜ、ここに来た?」


 陽斗は息を整え、

 まっすぐ大畑を見た。


「逃げた自分を変えたかった。

 後悔したくなかった。

 このチームでサッカーがしたい。

 ──それだけです」


 大畑は短く息を吐いた。


「……合格です」


 陽斗の肩が震えた。


「ほ、本当に……?」


「あなたの覚悟は本物でした。

 ようこそ、十一人目の選手です」


 その瞬間、

 十人の選手たちが一斉に駆け寄った。


「一緒にやろう!」

「人数多い方が楽しいしな!」

「ここから強くなろうぜ!」


 陽斗は涙をこらえきれなかった。


「……ありがとう。

 よろしくお願いします!」


 夕陽が差し込むグラウンドに、

 十一人の影が並んだ。


 だが──

 大畑は静かに言った。


「たけしさん。

 これで“揃った”と思ってはいけませんよ」


 岳は首をかしげた。


「え……?」


「まだ、決定的に足りないものがあります」


 その言葉は、

 次の扉を静かに開いた。


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