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サッカークラブメイキング 〜ど素人社長、丸投げされる?〜  作者: 双鶴


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34/55

34話 三崎の覚悟

 オレンジエクストリームに監督と選手が続々加入

 そんな噂は、宇和島をまだ賑わせていた。


「本気やな、あのクラブ」

「監督まで決まったんやって」

「追加で誰か入るらしいで」


 その噂は、

 ゆっくりと、しかし確実に──

 三崎陽斗の耳にも届いた。


 夕方。

 旧三間中の裏手のベンチ。


 陽斗は、

 グラウンドから聞こえる声をじっと聞いていた。


「そこ半歩内側!」

「ナイス、今の判断いいよ!」

「切り替え早く!」


 十人の選手たちが走り、

 大畑の声が響く。


 陽斗の胸が熱くなった。


「……すげぇな、みんな」


 スマホには、

 トライアウトの切り抜き動画が流れていた。


 颯の突破。

 慎の指示。

 直斗の声。

 そして──

 大畑の鋭いコーチング。


 陽斗は拳を握った。


 ──自分も、あの輪の中にいたかった。


 だが、あの日。

 応募ボタンを押せなかった。


 怖かった。

 挑んで落ちることが。

 夢を追って傷つくことが。


 逃げた。

 その結果、残ったのは後悔だけだった。


「……俺は、何してんだよ」


 そのとき──

 グラウンドの中央で、

 大畑が選手たちに言った。


「いいか。

 “覚悟”があるやつだけが、ここに立てる」


 陽斗の胸に、

 その言葉が突き刺さった。


 覚悟。


 岳も、大畑も、

 あの十人も持っているもの。


 自分には、まだない。


 だが──

 逃げたままでは、

 何も変わらない。


 陽斗は立ち上げた。

 足が震えても、前に出た。


 フェンスを開け、

 グラウンドの中央へ歩く。


 大畑が気づき、振り向いた。


「……三崎?」


 陽斗は深く頭を下げた。


「俺を……ここで挑戦させてください!」


 大畑は静かに問う。


「理由は?」


「後悔したくないんです。

 逃げた自分のままでいたくない。

 ここで走りたい。

 このチームで、サッカーがしたい!」


「覚悟はあるか」


「あります!」


「落ちるかもしれない」


「それでもやりたいです!」


 大畑はゆっくりと頷いた。


「……分かった。

 明日、個別審査をする」


「……はい。必ず来ます!」


 陽斗の声は震えていたが、

 その目は強かった。


 夕陽の中、

 三崎陽斗はついに一歩を踏み出した。


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