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サッカークラブメイキング 〜ど素人社長、丸投げされる?〜  作者: 双鶴


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30/55

30話 結果発表 選ばれた者たち

 三次審査のミニゲーム三本が終わると、

 校庭にはしばらく拍手が続いた。

 その余韻が静かに消えていくと、

 空気は一転して張りつめたものへと変わった。


 観衆は誰一人帰らない。

 選手たちの表情は汗に濡れ、

 だがその目はまだ前を向いている。


 北島岳は、胸の奥が熱くなるのを感じていた。

 今日という一日が、

 クラブの歴史の最初のページになる。

 その瞬間が、いま訪れようとしていた。


 大畑悠斗が前に出た。

 その歩みはゆっくりで、

 だが一歩ごとに空気が変わっていく。


「これより、合格者を発表します」


 校庭が静まり返った。

 風の音すら聞こえない。


「まず、合格者四名」


 選手たちの喉が鳴った。

 観衆の視線が一点に集まる。


 大畑は、一人ひとりの顔を見渡し、

 名前を読み上げた。


「藤川 颯」


 背の高い、鋭い目をした男が前へ出た。

 緊張で足が震えているのが分かる。


「判断が速い。

 ボールを持つ前に周囲を見ている。

 今日の中で最も動きの質が安定していた」


 観衆から小さな拍手が起きた。


「三輪 直斗」


 小柄だが、動きのキレが印象的だった選手が前へ出る。


「スペースの嗅覚がある。

 味方の動きを見て、自分の走る場所を変えられる。

 ムービングに必要な感覚を持っている」


 観衆が頷くようにざわめいた。


「江里口 慎」


 落ち着いた表情の男が前へ進む。

 ミニゲームでの冷静さが光っていた。


「プレッシャーの中でも判断がぶれない。

 守備のズレを見つける目がある。

 中盤で軸になれる可能性が高い」


 岳は胸が震えた。

 この三人は、確かに今日の中で光っていた。


「大森 亮太」


 体格の良い選手が前へ出た。

 だが動きは軽かった。


「フィジカルが強いだけではない。

 動き直しができる。

 走って終わりではなく、次の動きを考えている」


 四名が横に並んだ。

 観衆から自然と拍手が起きた。


 大畑は続けた。


「次に、練習生(仮合格)六名」


 選手たちの表情が再び引き締まる。


「練習生は、今後の練習参加を通して正式合格を判断します。

 今日の段階では、可能性があるという評価です」


 大畑は六名の名前を読み上げた。


「佐久間 祐介

 走力が高い。だが判断が遅い。伸びしろは大きい」


「村井 拓真

 守備の寄せが鋭い。ポジション理解が浅い」


「浜田 悠斗

 技術は高い。だが視野が狭い。改善すれば武器になる」


「高梨 俊

 動き直しが良い。だが判断が単調。経験不足」


「岡部 亮

 フィジカルが強い。だがムービングの理解が浅い」


「新谷 颯太

 スピードが武器。だが連動が弱い。磨けば光る」


 六名が前へ出ると、

 観衆から温かい拍手が起きた。


 大畑は最後に言った。


「残り七名は不合格です。

 ただし、今日の挑戦は無駄ではありません。

 あなたたちの動きは、確かにこの場を熱くした。

 胸を張って帰ってください」


 不合格の七名は、

 悔しさを隠さず、それでも前を向いていた。


 岳は胸が締めつけられた。

 この場に立つ全員が、

 今日という一日に全力を注いでいた。


 大畑が岳の方を向いた。


「たけしさん。

 これで、最初の十人が決まりました」


 夕陽が校庭を照らす。

 その光の中で、合格者と練習生の十名は、

 それぞれの未来を見つめていた。


 そして岳は思った。

 この十名は、宇和島オレンジトレーディングに入社し、

 昼は会社で働き、夜は共に練習で汗を流し、

 同じ寮で生活し、

 互いの弱さも強さも知りながら、

 “一体感”という名の絆を育てていくのだと。


 宇和島オレンジエクストリームの物語は、

 ここから本格的に動き出す。


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