96 浄化せよ
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「皇子、そなたには彷徨っているお嬢の魂を探してもらうぞ」
「魂を探す?―――どうやって?」
「おっ、いい質問じゃ。清らかな魂の気配を感じやすくするため、先ずは、そなたの聖なる歌声で皇宮の浄化をせよ」
ライナスは戸惑う。聖なる歌声は穢れを浄化するものだ。皇宮の敷地内には皇族の霊廟もある。何らかの影響が出てしまうのではないだろうか。
「ゴール、聖歌をここ(皇宮)で歌っても大丈夫なのか?」
「皇子、心配しなくともお嬢の清らかな魂は浄化されたりせん。フォッフォッフォ~」
見た目少年、中身はいつから生きているのかも分からない年寄りから小馬鹿にされ、ライナスはイラッとする。
「違う。私が心配しているのはアリアの魂ではない。霊廟のことだ」
「そなたの先祖に穢れを持った者がいるかもしれないと心配しているのか?」
ライナスは嫌そうに頷く。
「まぁ、その時は穢れを祓って綺麗にしてやれば良かろう」
「!!」
「晩年に聖なる力が弱まり、穢れをその身に貯め込んで亡くなった者が居てもおかしくはない。良い機会ではないか。そなたが皇宮をきれいに掃除(浄化)し、ここを神殿として蘇らせよ」
「蘇るも何も、ここは昔から神殿・・・」
「残念だが、聖域としてのパワーを失っておる。だから、いくら浄化しても穢れが減らんのじゃ」
「「!!!!」」
ライナスと皇帝と筆頭魔術師モージは顔を青ざめさせる。ミアや警備兵は事の重大さが分からないため、平然としていた。
「細かな話は全てが終わってからじゃ。さあ、急げ!今日の日没までが勝負。お嬢の魂が昇天したら、もう助けることは出来ん」
「!!!!」
今度はその場にいた全員が青ざめる。
――――失敗したら、アリアドネが死んでしまう・・・。現実を突きつけられ、ライナスは気合を入れ直した。『絶対にアリアの魂を見つけ出してやる!』と。
「では、検討を祈る。爺はお嬢の側に居る。皇子、浄化が終わったら呼んでおくれ」
そういうと、ゴールは手のひらをヒラヒラと振って、ライナスたちを強引に部屋から追い出した。
♢♢♢♢♢♢♢
昏睡中のアリアドネにはミアとゴールが付き添っている。
「さてさて、あの子はお嬢が時の属性を持っていることを知らなかったようじゃな・・・」
ゴールはアリアドネの手を取り、ブツブツと呪文のようなものを唱え始めた。
ミアはそれが終わるのを見計らって、気になったことを質問する。
「ゴール様はアリア様の魔法属性をご存じなのですか?」
「おお、失言じゃ。すまぬが忘れてもらおう」
賢者ゴールはミアの目を見て、指をパチンと弾く。ミアはチカッと目に軽い刺激を感じ、パチパチパチと瞬きをする。
―――この一瞬でゴールはミアの記憶の一部を消し去った。
「ミアちゃん、ハーネス公爵家の長男を連れて来ておくれ」
彼は何事もなかったかのように彼女へ頼みごとをする。
「はい、承知しました」
ミアはハーネス公爵家の長男ケヴィンを探すため、部屋を出て行った。寝室にいるのは昏睡したアリアドネと賢者ゴーンの二人だけとなる。
ゴーンはアリアドネの前に跪く。
「時を操るアリアドネ様、賢者ゴーンの命を懸けて、必ず御身に魂をお戻しいたします」
賢者ゴールはアリアドネの手を取り、指先に口づけをした。
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