95 死神の術
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
賢者ゴールの召集により、皇帝と魔術部の責任者モージ・ブランシェがアリアドネの私室に駆けつけた。
皇宮の出入口は既に封鎖が完了している。
ライナスはゴールの『爺は犯人を知っている』という言葉が心に引っかかっていた。
犯人を知っているのなら、なぜ、皇宮の出入り口を閉じる必要があるのだろうか・・・と。
――――賢者ゴールはもっと大切なことを隠しているような気がする。
「初めまして、私は当代の皇帝ルキウス・ヴォアール・ラクロアです。そして、彼は皇宮魔術部の筆頭魔術師モージ・ブランシェです」
「急に呼びつけてすまなかった。ただ、事態は一刻を争う。少しばかり、爺の加勢をしてくれ」
今回、皇帝と賢者は初めて顔を合わせた。
これは現皇帝の治世で東の塔の賢者を呼び出すほどの危機が発生していないということである。
それに比べて・・・。
「(私はまだ即位もしていないのに、この始末。必ず、犯人を捕まえて、厳罰に処してやる!)」
ライナスはギュッとくちびるを噛みしめた。
「賢者ゴール、私達は何をすればいいのでしょうか?」
皇帝は柔らかな口調でゴールに問う。
皇帝も筆頭魔術師モージもこの部屋に辿り着く前に、ミアたちから大まかな事情を聞いていた。
―――何者かがアリアドネに悪さをして昏睡状態に陥らせた・・・と。
「犯人は後でいい。捕まえるのは難しいことではないから・・・。それよりも急ぐべきは、お嬢の魂の方だ!」
「魂!?」
ライナスはつい声を出してしまった。
「そうだ。お嬢は犯人から魂抜きの術を受けている。かの者がどのようにして禁術とされる死神の技を習得したのかは後程、厳しく追及しなければならない。だが、今はお嬢の魂を見つけ出すことが先決だ」
ゴールはス~ッとモージの方へ視線を動かす。
「お前は妖精との混血だな!」
「えっ、あ、はい、そうです」
いきなり、出生の秘密を暴露され、モージは焦った。
皇帝やライナスは最初から知っていたので大して驚かないが、ミアや護衛兵は口をポカンと開けている。
「では、妖精に協力を要請して貰えないか? 少し必要なものを揃えておきたい」
「わ、分かりました」
「皇帝は皇宮の結界を最高レベルまで強化し、何ひとつ行き来出来ないようにしておくれ」
「何ひとつ・・・ですか」
「そうだ」
「――――分かりました」
穏やかな表情がトレードマークの皇帝も、難問を突き付けられて眉間に皺を寄せる。
父が困っている姿をライナスは始めて見た。
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