89 カスタードプリン 下
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
アリアドネは咄嗟にブランケットを頭から被って丸まった。
「あ、すまない。忘れてた」
(謝られてもー! もう見ちゃったのだもの。ああああ~)
彼の裸体をバッチリ見てしまったアリアドネはブランケットの中で身悶える。
ライナスはおかしな動きをしているブランケットの塊を見て、顔がニヤけてしまう。
「(アリアの反応が可愛すぎる!!――――ただ、淑女の前に裸体を晒す行為は褒められたものではないな・・・。彼女に嫌われないうちに服を着ておこう)」
ミアが閉じて行った天蓋カーテンを開いて、ライナスはベッドから降りる。
「(あれ、服はどこへ行った?)」
床の上にあったはずのライナスの服が見当たらない。彼は部屋の中をキョロキョロと見回して探す。
「(あった!)」
椅子の上にライナス服は置いてあった。綺麗に畳まれた状態で・・・。
「(いつの間に畳んだんだ?)」
ライナスは侍女たちの抜け目のなさに感心しながら、下着をサッと身に付けると、流れるようにトラウザーズを履き、シャツの袖に腕を通した。
銀狼に変身するたびに服が脱げてしまうので、ライナスは早着替えが得意だ。
彼は身なりを爆速で整えると、アリアドネの朝食の用意を始める。
ミアはアリアドネにミルク粥、ライナスにハムサンド、そして、食後のデザートにはカスタードプリン用意して来たと行った。しかし・・・。
ライナスは皿カバーを取って、中身を確認してみる。ミルク粥は深皿になみなみと入っていた。
「(あまりお腹が空いていないというアリアに、これは多いのでは?)」
「アリア~、量の多いミルク粥と料理長特製のカスタードプリンがあるのだが、どちらがいい? ちなみに私のおススメはカスター・・・」
「プリンでお願いします!」
食い気味の返事をもらい、ライナスは笑いをかみ殺す。
彼はワゴンからカスタードプリンと紅茶を取り出して、トレイに並べ、それを一旦、ナイトテーブルの上に置いた。
「アリア、食事をしよう」
彼はブランケット山に引きこもっているアリアドネへ話しかける。
(どうしよう。騒いでブランケットの中にこもってみたけど・・・)
彼が何も着ていないのを見てアリアドネは悲鳴を上げた。しかし、元を辿れば彼女がライナスを抱き締めて眠ったのが原因だ。
睡眠中に銀狼から人の姿へ戻ったのなら、ライナスに落ち度などない。それどころか、身動きの取り辛い状態で朝まで耐えてくれたのである。
(感謝しないといけないのに・・・)
「はい、ご迷惑をお掛けしてすみま・・・」
ボフッ。
ライナスはブランケットの上に乗っかった。アリアドネは危機を迎える。
(うわっ、わわわっ。くっ、苦しい、重い〜)
「や、止めて~~~」
アリアドネが白旗を上げたところで、彼はブランケットをギュッと掴んで、ポイッと床に投げ捨てた。
「お詫びの言葉なんかいらない。それよりも・・・」
ライナスは驚いて顔を上げたアリアドネの頬を両手で包み込み、鼻先にチュッと口付けをする。
「おはよう、愛しい人。さぁ、美味しいプリンを一緒に食べよう」
アリアドネは茹で蛸のように真っ赤になって、ベッドに突っ伏した。
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