88 カスタードプリン 上
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
アリアドネは子猫を抱いて、森の中にいた。
(ここはどこ? 霧が濃くて、風景が全く見えないわ)
不安な気持ちが増していくなか、子猫から感じるぬくもりだけが彼女に安心感を与えてくれる。
「ミー、ミー」
子猫は甘い鳴き声を上げた。
アリアドネに子猫を持ち上げて、顔を近づける。
「森を抜けることが出来たら、美味しいミルクをあげる。だから、もう少しだけ我慢してね」
子猫はアリアドネをしばらく見つめたあと、静かに目を閉じた。
♢♢♢♢♢♢♢
昨日の雨雲は遥か彼方へ旅立ち、朝陽が威風堂々と地平線から昇ってくる。
カーテンの隙間から白い光が差し込み、中庭では早起きをした小鳥たちが元気よく挨拶を交わしていた。
アリアドネも覚醒の時を迎える。
「――――うっ、う~ん」
唸り声を上げる、アリアドネ。
モゾモゾと身動ぎをした後、いつものように全身で伸びをしようとしたのだが……。
「ん、んんん?」
(あれっ? 腕が伸ばせない?)
違和感を覚えた彼女は眠気で重い瞼を少しだけ上げてみる。
「えっ!?」
目の前にあったのは僅かな光を集めて煌めく、長い睫毛。
(綺麗な睫毛・・・、肌のキメも細かい・・・。)
「―――ライナス殿下?」
(あれれ? 銀狼さんは・・・)
彼女は首をくるりと反対側に向けて、銀狼を探す。
ライナスと銀狼が同一人物ということを失念するほど寝ぼけていたのである。
「――――起きたのか」
ライナスの声は掠れていた。
アリアドネは再びライナスの方を向き、彼の長い睫毛がプルプルプルと揺れるのを見つめる。
(キラキラしながら揺れている・・・)
「アリア?」
ボーッとしていたアリアドネはハッとした。
突然、瞼を開けたライナスとバッチリ目が合ったからだ。
「あっ、はい・・・」
(ライナス殿下の瞳、宝石みたいに綺麗だわ)
「気分は?」
(気分・・・?)
「久しぶりに良く眠れました」
「――――そうだろうな」
クックックとライナスは笑う。
(ライナス殿下が楽しそうに笑っている・・・。なぜ?)
「アリアに捕まって、結局、朝まで一緒に眠ってしまった」
「私に捕まった?」
アリアドネは怪訝な表情になる。
「そうだ。君が私にギュッと抱き付いていたから、身動きが取れなくなってしまったんだ。で、このブランケットはミアが掛けてくれた」
(だ、抱き付いて離さなかったー!? で、ブランケットをミアが・・・、それって、全てを見られたということ?)
「うわぁ~~~~、なんてことを!!!――――大変申し訳ございませんでした!」
「気にしなくていい。私も心地よいぬくもりで久しぶりによく眠れたよ」
ライナスはフワッと柔らかく笑う。アリアドネは胸がキュンとした。
「アリア、お腹は空いていないか? ミアが軽食を置いて行ってくれている」
(昨夜は夕食の前に倒れたから、お腹はペコペコよ。だけど・・・)
「少し・・・、空いています」
乙女心で『少し』と言ってしまった、アリアドネ。
(また、小さな嘘を吐いてしまった・・・)
「分かった。少し待っていてくれ」
ライナスはブランケットをガバッと捲り、上半身を起こす。
「――――フギャ~~~~!」
(うっそ~~~!! 裸、裸じゃないの!! ああああ~~~、もう、最悪~!!)
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




