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赤ずきんを被って森へ入ったら、銀狼が助けてくれました(継母と双子の妹にはもう懲り懲り)  作者: 風野うた
第二章 ブリシア公爵家のアリアドネ

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90 王子からの手紙 上

楽しい物語になるよう心がけています。

どうぞ最後までお付き合いください!!


 アリアドネは朝霧に包まれた森を窓辺から眺めていた。まだ、部屋の中はひんやりとしている。


「ん~、寒っ」


 彼女は上腕をスリスリと撫でて、温めようとしたものの、上手く行かない。


「ライナス殿下のぬくもりが恋しいわ!」


 倒れてから一週間、アリアドネの体調を心配して、ライナスは毎晩、添い寝をしてくれていたのだが……。


 昨日、皇宮の医師が『アリアドネ様、すっかり元気になられましたね。今後は疲れを感じたら早めに休息を取られるようにして下さい』と、回復宣言をしたため、彼がこの部屋に居座る理由が無くなってしまったのである。


 しかし、本音をいうなら、アリアドネはライナスと一緒に寝たい。


 アリアドネは人間のライナスが間近にいると彼の美し過ぎる顔に圧倒されて、未だに緊張してしまうが、銀狼の姿の時は緊張することも無く、素直に甘えられるのだ。


 それにフカフカモフモフの毛皮に包まれて、眠りに落ちていく幸福感は唯一無二。


「う~ん、今日も森は霧に包まれているけど・・・、崖崩れの復旧はどうなっているのかしら?」


 アリアドネの脳裏に斜面が激しく崩れていく場面が再生される。


 あれを元通りにするにはかなりの時間と労力を要するだろう。素人目でもそう感じるくらいの惨状だった。


(一度目はライナスに遭遇してここへ連れて来られて、二度目は崖崩れでここに戻って来て・・・。私、ピートアイランド王国に辿り着けるのかしら)


「ん?」


 物思い耽っていると視界の端に物凄いスピードで中庭を突っ切っていく、何かが映る。


「キャッ!!」


 その何かが建物に衝突する瞬間、アリアドネは顔を手で覆った。


 ところが、辺りは静寂そのもので・・・。物音一つ聞こえない。


(あの勢いでぶつかったら、大きな音がしたり、振動を感じたりすると思うのだけど?)


「気になるわね・・・」


 アリアドネはガウンを羽織って、部屋を出た。


♢♢♢♢♢♢♢


「殿下、おはようございます」


「フェル、早いな」


 ライナスが執務室に入ると、既にフェルナンデスがいた。


 先ほど、夜が明けたばかりというのに・・・。


「(自宅に)帰らなかったのか?」


「はい、仮眠部屋に泊まりました」


「無理をさせてすまない」


 アシュレイが隣国にいるため、フェルナンデスの仕事量は増えている。


 ただ、ライナスが居るので、期日を超えるような事態にはなっていない。


 ヒュッ。


 突然の風切音と一緒にキラリと光る物体が部屋に現れた。


「魔法郵便か」


「そうみたいですね」


 ライナスは宙に浮いている光へ手をのばす。


 光の玉はライナスの手に反応して瞬き、一通の手紙へと姿を変えた。


「―――ジャイルからだ。隣国で何かあったのか!?」


 ライナスはピンと指先で手紙を弾いて、封印魔法を解く。


 そして、封筒の中から便箋を取り出して、ジーッと文面を見つめる。


「殿下、何と書かれているのですか?」


 フェルナンデスは待ち切れず、上司に声を掛けた。


「ここに書かれていることが本当なら・・・、ジャイルは良い奴なのかもしれない」

最後まで読んで下さりありがとうございます。

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