72 フラッシュバック 3
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「そこにいる殿下の護衛の方、急いで医師を呼んで来て下さい!!」
ライナスはミアの言葉で我に返る。
「私がアリアをベッドへ運ぶ。ミア、寝室のドアを開けてくれ」
「はいっ!!」
ミアは部屋の奥へ走っていく。
ライナスはアリアドネの頭を出来るだけ揺らさないように・・・と、細心の注意を払って彼女を抱き上げる。
目を閉じているアリアドネ、ライナスは彼女と初めて会った時のことを思い出した。
あの日、ライナスは赤ずきんを被った不審者が森の中を歩いているという連絡を受けて、現場へ。
そこで出会った赤ずきんの娘は銀狼に驚いて、悲鳴を上げ、そのまま地面へ倒れ込んだ。
ライナスは倒れた娘に近づき、恐る恐る赤ずきんの中を覗いた・・・。
『美しい・・・』
銀狼は恋に落ちた。
「あの時の君はとても美しかった。だが、今は・・・」
アリアドネの顔は血の気を失い、青白くなっている。そして、どことなく苦しげな表情・・・。
「何があったんだ?」
ミアの大声を聞きつける前、ライナスはジャミール(バルバラード公爵)と廊下ですれ違った。
「父上の補佐官・・・、 あいつが、アリアに何か余計なことを言ったのか?」
ライナスは席を外したことを悔やむ。
「―――アリアを脅かす者は誰であろうと許さない・・・」
ライナスはアリアドネをベッドに寝かせてから、ミアに事情を尋ねた。
彼女はジャミール(バルバラード公爵)が、アリアドネに皇帝の手紙を持って来たと話す。
「父上からの手紙?」
「はい、お茶会のお誘いのようで、アリア様は参加するとお返事されていました。また、お受け取りになったお手紙は机の引き出しにしまわれていました」
ミアはアリアドネの机を指差す。
「分かった、内容を確認しよう」
ミアは大きく頷いた。――――彼女も手紙の内容が気になっていたのだ。
早速、ライナスはアリアドネの机の引き出しから、皇帝の手紙を取り出した。
「この香りは・・・」
ライナスは目を見張る。ペパーミントの香りに鎮静効果のある魔法が施されていたからだ。
彼は便箋を開いて、文面を目で辿っていく。しかし・・・。
「特に気になるようなことは書いていないな」
「左様でございますか・・・」
二人はしばし黙り込む。
(わざわざ鎮静効果のある香りを仕込んだのはなぜだ? この手紙を読んだくらいで、アリアの心が乱れるとは思えないのだが・・・)
「アリア様が目を覚まされないと真相は分かりませんね」
「ああ、そうだな」
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