73 フラッシュバック 4
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
皇宮の医師エリス・クレピオスはライナスから呼ばれ、かけ足でアリアドネの部屋へやって来た。
彼女は皇宮の医師チームで唯一の女性。そして、皇后の主治医でもある。
「殿下、アリアドネ様が倒れられたのは病によるものではございません。このまま、ゆっくりとお休みになり、少しずつ栄養のある食事を取るようにすれば、お元気になられるでしょう」
「分かった。それを聞いて安心した。クレピオス医師、急いで来てくれて助かった。ありがとう」
ライナスにお礼を言われ、クレピオス医師は目を見開く。
―――『天変地異の前触れなのではないか?』と言わんばかりに。
「そんなに驚かなくてもいいだろ・・・。もういい、下がっていい!」
「承知いたしました。では、わたくしはこれで・・・」
ライナスに一礼し、クレピオス医師は部屋から去った。
「ミア、フェルナンデス(ライナスの側近)に伝言を頼みたい」
「殿下、私はアリアドネ様の専属侍女なのでここから動けません。他の方に・・・」
「はぁ~? お前は本当に・・・」
ミアを注意しようとしたが、最終的に自分へブーメランが飛んで来そうな気がしたため、ライナスは見逃すことにした。
「では、そこの警備兵、私の執務室にいるフェルナンデスへ伝言を頼む」
「はい!!」
ライナスは『私はアリアドネの寝室で執務をするため、机と書類を運んで欲しい』という伝言を警備兵に告げる。
「殿下!! 未婚女性の寝室に男性が居座るのはマナー違反でございます!」
後方から、口を挟んだのは侍女頭メリルだった。
「いや、私とアリアは婚約者だから、問題ないだろう」
「いいえ、ダメでございます! 殿下は執務室へお戻りを! アリア様のお世話は私共にお任せ下さい」
だが、ライナスは譲らない。
「愛しい婚約者が倒れたんだぞ! 側に居るのは当たり前だ! 何と言われようと私はここに居る。お前たちこそ、全員この部屋から出て行け!!」
「なっ、なんてことを・・・」
狼皇子の命令にメリルは言葉を失う。
「メリルさん、私達は廊下に出ましょう。殿下はアリアドネ様のことが心配でたまらないんですよ。少し二人にしてあげた方が・・・」
ここでフォローに入ったのはミアだった。ライナスは意外なこともあるものだと口元に手を当てる。
「―――分かりました。殿下の指示に従います」
渋々了承したメリルはミアに促されて、警備兵たちと一緒に寝室から慌ただしく出ていった。
「ふう~、やっと静かになった・・・」
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