67 出迎え
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
月が夜空に上り始めた。ライナスたちはまもなく皇宮へ到着する。
「殿下、人だかりが出来ています」
ミアに促され、ライナスとアリアドネも車窓から外を見てみた。
「正門の奥に職員が並んでいるようだ。――――あっ!」
ライナスは整列している人々の中に見覚えのある顔を見つける。
「ライナス殿下?」
口元に手を当てて固まってしまったライナスに、アリアドネは声を掛けた。
「父上がいる」
「えっ、嘘っ!何処に!?」
「ミア、言葉が元に戻っています」
(ライナス殿下は人目が無ければ気にしないというけど・・・。皇子様にため口は流石にマズいと思うわ。メリルがこのことを知ったら激怒しそう・・・)
アリアドネはミアに一言注意をしてから、ライナスの方を向く。ちなみにまだ膝の上から降ろして貰えていない。
「ライナス殿下のお父様ということは皇帝陛下が皇宮にお戻りになられているということですか?」
「ああ、そうみたいだ。予想より早い帰国で驚いた」
「(私が出かけるタイミングで帰国するなんて、何を企んでいるんだ?まさかアリアドネとの婚約に横やりでも入れるつもりじゃないだろうな)」
ライナスは警戒する。
「ご家族と久しぶりにお会いできるのは嬉しいですよね」
「――――ああ、そうだな」
アリアドネはライナスと皇帝、皇后の関係を知らない。ライナスのことを優しい人と信じている彼女は彼の家族も同じように温かな人たちだと思っている。
「私、陛下にご挨拶をしても宜しいですか?」
「それは勿論」
ライナスは父からアリアドネを守らなければと気を引き締めた。
♢♢♢♢♢♢♢
先導をしていた騎士団長ケヴィンは馬から降りると真っ直ぐに皇帝陛下の前へ向かう。
「陛下、お久しぶりです。お帰りになられていたのですね」
「団長、そなたがここに来たら、隠れている意味がないではないか!」
ライナスと瓜二つの顔で皇帝は苦虫を噛みつぶしたような顔をする。そして、手でシッシッと彼を追い払うような仕草をした。周囲の使用人たちは笑ってしまわないよう、視線を余所へ向けてこらえる。
「殿下はもう気付いていると思いますけどね~。では、御前を失礼します」
ケヴィンは踵を返して、ロータリーに入って来たライナスたちの馬車の方へ歩いて行った。
馬車が停車し、ケヴィンが扉を開けると、同時に並んでいた職員は一斉に礼の姿勢を取る。
「これは誰の指示だ?」
ステップを降りながら、ライナスは最前列で控えていた皇宮の執事長に問う。
「――――」
執事長は返答に窮する。
「父上!!そこに居るのは分かっていますよ」
「ブッ」
ライナスの隣でケヴィンは遠慮なく噴き出した。
「ライナス殿下。皆さまが・・・」
アリアドネの声でライナスはハッとする。
「皆の者、退勤時間を過ぎているのに出迎えまでしてくれてありがとう。さあ、顔を上げてくれ」
ザワッとした。ライナスが大勢の前で労いの言葉を告げるのはこれが初めてだったからだ。
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