65 どうすれば甘い雰囲気になるんだろう 上
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
夕刻、騎士団長の先導でライナスたちの馬車は皇宮へ向けて出発した。その後から専門家を乗せた馬車が続き、残りの騎士たちも次々と馬へ騎乗して、撤収を進めていく。ーーーそして、崖崩れ現場には誰もいなくなった。
全員で撤収した理由は二つある。
まず、一つ目に騎士たちは土木工事の専門家と共に徹夜で復旧工事をする予定にしていたのだが、崖崩れの被害が想定していたよりも酷く、必要な資材と技術者が足りないという結論に辿り着いた。
二つ目は銀狼のライナスが午前中に皇宮と隣国の両方に崖崩れが発生したという連絡を入れたため、ピートアイランド王国側も既にこの道の入口を通行止めにしているという知らせがアシュレイから入ったのである。これで見張りを置く必要が無くなった。
ーーーというわけで、一度皇宮に撤収して、仕切り直すことにしたのである。
(この土砂崩れは私にとって幸いだったわ。到着を待っていて下さったお爺様たちにはとても申し訳ないけれど、何も知らないままに魔力診断を受けていたら、碌なことにならなかったと思うもの)
アリアドネは王族に虐げられる自分を想像して、ブルッと身震いをしてしまう。
(継母相手に上手く立ち回れなかった私が、王族に立ち向かうなんて絶対に無理・・・)
「アリア、風邪を引いたのではないか?」
ライナスはアリアドネの手に自分の手を重ねた。
「冷たい・・・」
毛布でグルグル巻きにされているアリアドネの腰にライナスは腕を回す。
そして、ギュッと自分の方に引き寄せて・・・。
「え、えええっ!? ライナス殿下、これは流石に・・・」
アリアドネを膝の上にヒョイッと乗せた。
そして、後ろからギュ~ッと抱き締める。
「身体が芯から冷えているみたいだから、温める」
ボソッと囁く、ライナス。
彼はそのままアリアドネの首元へ顔を埋める。
(なっ、何てことに!! 恥ずかしいわ・・・。ミアも見てるのに~! って、あっ~)
向かい側に座っているミアはうつむいていた。
この馬車には、アリアドネ、ライナス、ミアの三名が乗車している。現場を出発して直ぐにライナスは服を脱いだ理由をミアへ説明した。
彼女はライナスの話を聞き終えると下を向いて黙り込んだ。そして、今に至る。
(ミア、まだうつむいて・・・。ライナス殿下の話をどう受け止めたらいいのかが分からなくて、困っているのかも知れないわね)
アリアドネはおしゃべりなミアが黙っているだけで心配になってしまう。
「ライナス殿下、ミアは大丈夫でしょうか?」
ライナスにヒソヒソと囁き掛ける、アリアドネ。
「疲れているだけだろう。心配しなくていい」
(疲れている? そういう風には見えないのだけど・・・)
「アリア、少しは温かいか?」
「はい、とっても温かいです。重いですよね。すみません・・・」
「―――どうすれば甘い雰囲気になるんだろう・・・」
「え?」
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




