36 もう終わりだ・・・
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「もう終わりだ・・・」
クロ―シェ伯爵はゆっくりと足元から崩れて、床へ倒れ来んだ。
彼の隣にいたマティルデは微動だにせず、冷ややかな視線で彼の背を見つめる。
「―――お父様!!」
「―――誰か!早く!!」
一方、双子の姉妹ロディアとナディアは一拍遅れて、悲鳴を上げた。何が起こったのかを理解するのに時間が掛かったからだ。
程なく、彼女たちの声を聞きつけた使用人たちも、部屋へ飛び込んで来た・・・。
「旦那様!!!」
使用人たちは気を失って床に倒れている主の姿に一瞬だけ動揺したものの、すぐに動き出す。
「執事に医師を呼ぶよう伝えてきます!!」
「みんなで旦那様をベッドへ運ぶぞ!!」
「頭を動かさないように気を付けろ!!」
口元を両手で覆って呆然としている双子の前で、使用人たちは手際よく動いてクロ―シェ伯爵を寝室へ運んで行った。
「お母様、どうして・・・」
ナディアは母に問う。
『アリアドネが家から出て行った』と、父親に報告した途端、彼が倒れたからだ。
「まさか、倒れてしまうなんて・・・」
双子の姉、ロディアも同様に驚きを隠せずにいた。アリアドネのことで彼がこんなにショックを受けるとは思っていなかったからだ。
「お父様は疲れが溜まっていたのよ。私はこれからあの方(ラース子爵)のところへ行ってくるわ。後のことはあなた達に任せるわね」
マティルダは双子にアリアドネの縁談の話は伝えなかった。
メイナール男爵家の次男の話が社交界へ広がると困るからだ。
実はメイナール男爵家の次男にアリアドネを嫁がせるという話は作り話で、最初から、マティルダとハロルドはクローシェ伯爵を騙して、アリアドネを他国の高級娼館へ送るつもりだったのである。
見た目だけは極上のアリアドネで荒稼ぎしようという目論見で。
しかし、当の本人が逃げ出してしまった。
急いで対策を練らなければ大金を逃してしまう。
彼女は騒然としている屋敷を後にし、ラース子爵の元へ急いだ。
♢♢♢♢♢♢♢♢
この日の夜、アリアドネはクロ―シェ伯爵家から大金を持ち出した使用人として、ドラクロア帝国の指名手配リストへ登録された。
―――そして、これを知ったバーゼル公爵は『違法薬物密輸業者の摘発計画』を前倒しし、クロ―シェ伯爵家へライナスと共に乗り込んだのである。
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