37 約束
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
長い夜が明ける頃、一人の男が地下牢へ続く階段を降りて行った。
地下一階の廊下はひんやりとしていて、静寂の中に彼の足音だけがカツカツと響き渡っていく。天井から等間隔で下げられているランプの僅かな光は鉄扉に遮られ、その先にある鉄格子の牢までは届いていない。
一晩だけとはいえ、アリアドネをこんな劣悪な環境に置いてしまった。
彼は直ぐに連れ出せなかったことを後悔している。
――――だが、この一晩でアリアドネの憂いの種を潰すことが出来た。
「早く会いたい・・・」
一刻も早くアリアドネに報告して、喜ばせたい。彼女の笑顔を見たい。
♢♢♢♢♢♢♢♢
「アリア!?」
鉄扉を開いたライナスは、石床に敷かれたボロボロのマットの上で丸まっているアリアドネを見つけた。
「ああ、何ということだ!!」
彼は鉄格子の鍵を開けて、アリアドネへ駆け寄り、彼女の頬に手を伸ばす。
「冷たい・・・」
これはすぐに部屋へ連れて行って温めた方が良いだろうと判断したライナスは彼女を抱き上げた。
♢♢♢♢♢♢♢♢
アリアドネは川べりに座って、足を水に浸し、水中をボーッと眺めている。
「綺麗な色の小さな魚たち・・・・。え!?」
突然の浮遊感で彼女は目を見開く。
だが、まだ覚醒は不十分で状況を把握出来ていない。
「―――うす暗い。ん? 朝?―――でも・・・」
ぽつり、ぽつりと眠気交じりで呟く声。
―――彼女を驚かさないよう、ライナスは優しい口調で語り掛ける。
「おはよう、アリア」
「この声、―――ライナス殿下?」
ライナスは腕の中にいる彼女と視線が合って、ドキッとした。
彼女が柔らかな頬笑みを浮かべて、彼を見上げていたからである。
「うふふふ、神様が・・・。願いを叶えてくれた・・・のね」
「願い?」
「最後にもう一度、ライナス殿下に会いたいと・・・願ったの」
アリアドネの言葉があまりに可愛らしくて堪らない。
ライナスは彼女をギュッ~と抱き締めた。
(ん~、温かい・・・。牢の中はブランケットも無くて寒かったから・・・)
心地よさそうにライナスの肩へ頬を擦りつけるアリアドネ。
―――彼女は冷え切った身体が何か温かいものに包まれていると、ようやく気付き始め・・・。
「―――えっ!?」
(嘘!? これ・・・、夢じゃない!!)
「ラ、ライナス殿下が、どうしてこんなところに!?」
「―――約束通り、君を迎えに来た」
ライナスは真剣な眼差しで彼女を見つめた。
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