34 クロ―シェ伯爵の思惑 下
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ヴァルチャー金融組合の要件は予想していた通り、貸した金を返して欲しいというものだった。
「今日返せと言われても、無理です」
「今回も支払い期限の延長を口にするつもりですか。猶予は十分に与えましたよね? 流石にこちらも困るのですよ。お分かりいただけますか?」
この組合の理事長ハロルド・ラーシュ子爵は慇懃無礼な態度を隠しもしない。
貼り付けた笑みと鋭い目・・・。先祖は海賊だったという噂もある男は海運業で財を成し、爵位を手に入れた。潤沢な資金を手に近年は金融業を営み、貴族たちへの融資で儲けている。
クロ―シェ伯爵は支払いの延長を断られて一瞬怯んだ。
しかし、ここで引き下がる訳にはいかない。先祖代々守り抜いて来た領地を爵位ごと新興貴族に奪われそうになっているのだから・・・。
「理事長、実はうちの長女の嫁ぎ先を探しておりまして、どこか紹介していただけませんか?」
ここでクロ―シェ伯爵は切り札を出した。
「ほう、お嬢さんを差し出すと・・・」
「差し出すなんて言い方はお止め下さい。理事長を信頼してお願いしているのです」
クロ―シェ伯爵はラーシュ子爵の発言に嫌悪感を示したが、借金返済の代わりに娘を好きにしていいですという意味の発言をしたのは当の本人だ。
ラーシェ子爵は呆れて笑う。
『マティルデのいう通り、この男はロクな奴じゃない・・・』と。
「分かりました。伯爵のお嬢様にはメイナール男爵家の次男をご紹介いたしましょう。あの家は嫁探しでだいぶん困っていたようですからね。すぐにでも輿入れして欲しいというでしょう。では、詳細を確認して、またご連絡いたします。伯爵はお嬢様を送り出す準備をしておいて下さい」
メイナール男爵家は鉄鉱山を保有している資産家だ。しかし、次男は少々性癖に問題があり、過去に付き合った複数の女性が不明の死を遂げている。
ドラクロア帝国のまともな貴族なら、そんなところに大切な娘を嫁がせたりはしない。
「理事長、最高の嫁ぎ先をご紹介いただき、ありがとうございます。早速、準備に取り掛かります。よろしくお願いいたします」
クロ―シェ伯爵は丁重にお礼を告げて、ヴァルチャー金融組合を後にした。
「あの子を身綺麗にするよう使用人へ指示を出すとしよう。それから、マティルデの鞭を没収して、双子たちにもアリアドネへ手をあげないよう注意をしておかなければ・・・」
交渉が上手く行き、クロ―シェ伯爵は喜色満面で屋敷へ戻った。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




