22 予想外の理由 1
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ライナスはノックもせず、勢い良くドアを開けた。
突然、皇子ライナスが現れ、皇宮捜査官の詰め所は騒然とする。
しかも、ライナスは怒気を隠そうともせず、鬼の形相だ。
「で、殿下・・・、いかがなさいましたか?」
ただ事ではない雰囲気を感じ取り、緊張の面持ちでライナスに話しかけた男は、皇宮捜査局の局長・ダグ侯爵だった。
ライナスは彼のことを良く知っている。なぜなら、局長は父(皇帝陛下)の友人だからだ。
「局長、あなたの部下のことで聞きたいことがある・・・」
ここで一度、ライナスは言葉を止め、息をゆっくりと吐いて、自身の心を落ち着かせた。
そして、再び、話し始める。
「―――今日、私の客人を罪人と決めつけて、地下牢に入れた者がいる」
「ろ、牢、地下牢!? 私の部下が殿下の客人を勝手に投獄したということですか?」
「ああ、そうだ!!」
局長は耳を疑った。
この国で容疑者を直接投獄出来る権限を持つのは皇帝だけである。しかしながら、皇帝は現在、外遊中で不在。
こういう場合、皇帝の代理人として、権限を行使出来るのは目の前にいる皇子、ライナスとなる。
なのに、その彼がここへ乗り込んで来て、客人を投獄されたと激怒しているのだから、皇宮捜査官がとんでもないことをしたのは間違いないだろう。
「殿下、捜査官の名前は分かりますか?」
局長は恐る恐るライナスへ尋ねる。
ライナスは冷静を保っているつもりだが、周りにいる者たちは彼の放つ怒気で脂汗が止まらない。
「ジャスパー・カナディという捜査官だ。私の留守中に皇太子宮へ勝手に侵入した」
局長は絶句する。
ジャスパー・カナディは確かに皇宮捜査局の主任捜査官だ。
しかも・・・。
「無許可で侵入したのですか!?」
「ああ、そうだ。警備の交代時間を狙って侵入したようだと部下から報告を受けている」
―――生真面目なジャスパー・カナディが、一体どうして、そのような行動をしたのだろうか。原因が全く分からない・・・。
局長は狼狽える。
「局長、ジャスパー・カナディは何処だ?」
視線を右に左へと彷徨わせる局長にライナスは問う。
「彼は既に帰宅しました」
「今すぐ、ここへ連れて来い!!」
「はっ、承知いたしました!」
局長は室内にいる部下たちへ「あとは任せた」と言って、部屋から飛び出していった。
「局長、嘘だろ・・・」
誰かがボソっと呟く。
まさか局長本人がジャスパー・カナディのところへ向かうとは思ってなかったからだ。
残された捜査官たちは、荒ぶるライナスをチラチラと見ながら、俺たちはどうしたらいいの・・・と、悩んでしまうのだった。
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