21 大聖堂 3
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「ウェーバー卿、パシャ様の魔法属性は土ですよ。土属性は農業を生業とする人々にとても人気のある属性です」
「土・・・」
アシュレイは戸惑う。ドラクロア帝国で土属性を持つ者はかなり希少な存在とされているからだ。
「ご存じかも知れませんが、ピートアイランド王国は独自に魔法属性の序列を決めています。一等は光、二等は炎、三等は氷、そして、水、風、闇と続き、土は最下位なのですよ。だから、この序列に囚われている貴族は土属性を持つ者を社交界から排除しようとする。例に違わず、彼女も国内では縁談が纏まらず、ドラクロア帝国の貴族と結婚することになりました」
「ドラクロア帝国!?」
これは予想外だった。今の今まで、アシュレイはアリアのことをピートアイランド王国の民だと信じていたからである。
「嫁ぎ先は分かりますか?」
「ドラクロア帝国のクロ―シェ伯爵家です。婚約が決まった際、前伯爵からこちら(大聖堂)へ多額の寄付をいただいたのですよ」
「多額の寄付ですか・・・」
「はい、前伯爵は『土属性の魔法を使える女性を息子の妻に迎えられて嬉しい』と、大変お喜びになられていました。そして、ブリシア公爵夫妻も『良い嫁ぎ先が見つかって良かった』と。土属性は母なる大地を源とする偉大な力です。土属性を持つ者を、ある国では豊穣をもたらす者として丁重に扱います。この国の貴族は彼女の価値を全く分かってなかった。――――だからこそ、私達はパシャ様の価値を知るクロ―シェ伯爵家なら、彼女は幸せに暮らして行けると信じていたのです」
一年を通して気温の低いドラクロア帝国は植物の育ちが悪く、農業に適していない。そこへ土属性の魔法を使える娘が嫁いで来て、実りを豊かにしてくれるのなら、家門の繁栄を約束されたようなものである。
「なるほど」
「ところがこの判断は大きな過ちでした。パシャ様の亡骸がこちらへ戻って来た時、私は酷く後悔しました。あの時、彼女を送り出すべきではなかったと・・・」
悔しさで震える声。これは教皇の本心なのだろう。
「教皇聖下。ドラクロア帝国でパシャ様に何があったのですか?」
「ええ、全てお話ししましょう。パシャ様の受けた屈辱を・・・」
教皇の話を聞き、怒りが烈火の如くわき上がって来たアシュレイは、大聖堂を後にすると。全力でドラクロア城へ向かって駆け出した。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




