4 何故か高待遇なんだが
「……永続ですか?」
「……永続ですねぇ」
「……すごい?」
三者三様の反応を見せているが、多分コル君は適当に反応しただけだ。
LUCK:max
三日後、陰の終日(土曜)に、アリエントさんがあたし達の宿を訪ねてきた。無事コル君はランクE、あたしはランクFとして登録出来たので、色々依頼を受ける為に必要な物資を買い集めて、そろそろ受けるつもりだったんだが。なんでも屋をやるんだから、店の在庫にあるんじゃないか?はっは、売り物は使っちゃ駄目だろう。普通に経費で落としたよ。まあ元々あたしの分はあるから、コル君の装備を本人に希望を取って集めただけだけど。悲しいかな、試しにあたしの双剣を持たせてみたら軽々だったよ。うん、鍛えよう。
閑話休題。
アリエントさんの運気は三日経っても戻らないようだ。普通は数時間、長くても一日だ。第一、加護というのは普通、魔法師の付加魔法と違って効果はそこまで高くない代わりに持続性があるのだ。短時間でも高い効果を出せるのが強みの付加魔法が息してないぞ、これ。
「随分とエナシェルディア様に愛されているのですねぇ」
「小さい時から祈ってましたから」
キリッ。何もおかしいことなどない。前世でも何かある度に運の神様に祈ってたし、ダイスの女神様はあたしの出したい目をくれた。
「えっと…。永続の加護が行えるということで、ギルドマスターが勿体ないとおっしゃいまして…。希望するならBランク、まで、は、上げられる、と…」
みるみる声が萎むアリエントさん。分かる、上司の無茶ぶりと新人が自分より高待遇って、真面目に働いてる側としてはかなり辛いよね。あたしも経験あるわー。
「じゃあEランクで。あんまり上げすぎても、経験も無しじゃあすぐ死んじゃいますから」
「ありがとうございますありがとうございます」
とりあえず無難な線でまとめたら、めっちゃ感謝された。多分、断られたら上の圧が怖いけど、高ランクにいきなり素人を放り込む訳には…という葛藤があったのだろう。あたしの中でアリエントさんの好感度が急上昇中だ。ギルドマスター?さっき底辺に叩き落としたよ、きっとコネ野郎でしょ?
「代わりにと言ったらなんですが、初めてで不安なので、モンスターの知識とか、立ち回りとかを教えてくださるとありがたいです」
モンスターの知識は転生前に貰ったけど、知識と経験は違うもの。理解していても使えないと意味がない。
「勿論、教えさせていただきます!」
うん?何かアリエントさんのキャラが崩壊している気がするけど、大丈夫なんかね?
結局、一日中付きっきりで教えてくれた上に、初依頼にオススメなモンスターの討伐依頼に付き合ってくれた。街の中の良い店をまとめた地図も貰った。ついでにアリエントさんのおごりでその中の一件の料亭に行って夕食を取った。
「今日はありがとうございました」
「ましたー」
「いえ、むしろこちらこそありがとうございました。良い依頼や面白い依頼は斡旋しますよ!」
「そこまでしてもらうと、いつまでも良い依頼を選ぶ観察眼が育ちませんよ。別の街に行くことになったら困ります」
「そうですか、それは残念です。でも、何か困ったことがあったら何時でも言って下さい!」
「アリエントさんもあまり溜め込みすぎないようにして下さいねー。あたし、ちょっと遠いですけど、向こうの小山で店開きするんですよ。良かったら遊びに来てください」
「あら、冒険者は副業ですか?勿論、遊びにいきますよ」
「では、あたし達はこれで。また明日も依頼受けますよー」
「お待ちしておきますね」
アリエントさんに手を振って宿に戻る。うん、クールだと思ってたんだがなー。
「ふぃー。さーて、風呂いくかー」
「ん」
高級宿は経費で落ちまーす。風呂という贅沢をしっかり味わう。だってあたし元日本人ですしー。風呂なしは耐えられない。無論我が家にも設置済みだ。沸かすのが大変じゃないか、だって?魔石の魔力使って火を出すから。魔法って便利。
「あ〜、極楽極楽」
風呂にゆったりと浸かる。狐だから、耳と尻尾、特に尻尾はよーく洗っとかないとー。ゔぃー、生き返る。ついでに尻尾をモフる。あーふかふか。コル君の狼要素は牙と爪くらいだしなあ。
「「あ」」
外に出たらコル君に狐姿を目撃されてしまった。やべっ、いやヤバくはないけど、なんとなくずっとハーフエルフ姿でいたからなぁ。案の定コル君、ぽかーん。まいっか。
「うぃーっす」
「えーっと、つかぬことを聞くけど、ユキネハーフエルフだよね?」
「うん、そうよー」
「何で狐?」
「そりゃー狐獣人とのハーフだからでしょー」
「そっかー」
うん、とりあえず何とかなったからいいや。




