15 双子の妹なんだが
「ユキネ様ですね、ええ。私フランシスカと申します。転生と転移の女神様にお仕えしております」
「えーと、はじめまして」
「早速ですが、対象は獣人の村の近くの山でひっそりと暮らしているようです。まだ夜は長いですから、今から向かわれますか?」
「寝込み襲うのかよ……」
「いや、相手は夜行性です」
「名前は?」
「フユネだそうです」
「フユネ、ね」
ふーん。夜行性とかいるんだ。さて、行きますか。ようやくこれで俺TUEEEできるわー。
「さてさて、それじゃ、しっかり掴まってくださいね。ちょっと飛びますよ」
「あ、飛ぶんだ」
「はい、もちろん。ささ、行きましょうかね」
果たしてそこには小さな木の家が建っていた。可愛らしいこぢんまりしたもので、庭には野菜が植えられている。野菜に見えないのもあるけど、うん、野菜に……違いない。
コンコン
「どちら様ですかー?」
少女の声が帰ってきた。
「……あ」
「ひょっとして……ノックしたらサクッと開けてくれるとか、そんな甘い考えだったの?」
「いやー、そんなことないですよ、ええ」
「あのー?どなたですか?言ってくれないなら吹き飛ばしますよ?三十、二十九、二十八……」
何その不穏なカウントダウン。フランシスカおばちゃんは冷や汗を垂らしながらニコニコしてる。何とかしろよ……。
「何か上手い言い訳ないの?」
「えーっと」
「二十、十九、十八、十七」
「あー、私フランシスカと申します、天使取締役をしておりますー」
「宗教の勧誘は受け付けませーん。十、九、八、七」
使えないなあこのおばちゃん!
「えーっと、宗教とかではなくて……」
「しつこい!馬鹿ばっか言ってんじゃないよ!はい三!」
「夕凪冬音、口癖は『馬鹿ばっかり』。特技は本の速読、そしてシスコン」
「……へ?」
カチャリと戸が開いて、狐耳の付いた金色の頭がひょっこり現れた。澄んだ赤の瞳をぱちぱちさせてこちらを見つめている。今のあたしと同じくらいかな?たくさんの尻尾がわさわさしてて、自分の色違いを見てる気分だ。
「久しぶりねえ冬音。大好きなお姉様にいきなりぶちかまそうなんて、どういう了見なのかし―――」
「qくぁ雪姉様ぁうkぁあああ!」
「ごっふうううううう!!」
「ぁああん、お会いしたかったですううううう!」
「ちょ、待て、死ぬ、ちょ!」
「はぁあん、雪姉様あん」
「ぐぇっ……」
「……あら?」
「気絶しております」
あら、じゃねえよ……。
「雪姉様、すいません。少しはしゃぎすぎてしまいました」
気を取り直して冬音宅。ハーブティーの香りが木と調和する。
「ったく、あんたも変わんないわね」
「本当に辛かったんですよ?雪姉様が亡くなった時は悲しくて、本当に、もう……」
「だーもう、過ぎたことでしょうが。全くもう、泣くんじゃないの」
「雪姉様がいない世界なんていらないって思ってっ……だから、フユは、自害しました」
「は?」
今何て?今の流れでさらっと言われるとこえーよ?泣き腫らした目でしかしドヤ顔で、冬音が言葉を続ける。
「だって雪姉様は、世界一運を信じ、運を愛し、そして運に愛された人ですよ?過労死とかありえないじゃないですか。絶対にどこかで生きてると思ったんですよ。だったら手っ取り早いのは、自分も後を追うことじゃないです?なーんて、馬鹿ばっか言ってますね?フユ」
「本当に馬鹿よ」
「えーっと、本題に入っていいですかね……?」
あ、忘れてた。
「いたんだ、フランシスカ」
「いましたよ……」
「つーか、うちの妹ならもー良いわ。悪用なんてしないでしょうし」
「?何がですか?」
「ちょっと失礼」
鑑定。
NAME:フユネ・ユウナギ
SPECIES:ハーフエルフ(狐獣人)
AGE:10
LEVEL:unknown
LUCK:∞(限界突破)
JOB:全てを極めし者Lv1 転移の女神の使徒Lv10
HP:9999999999999999
MP:9999999999999999
SKILL:アイテムボックス 鑑定 神々の寵愛 転移の女神の加護 戦闘の極意(以下極意類略)
元双子の妹なのにこの差よ。
NAME:ユキネ・ユウナギ
SPECIES:ハーフエルフ(狐獣人)
AGE:10
LEVEL:15
LUCK:unknown
JOB:村人Lv3 農家Lv3 狩人Lv3 巫女Lv10 魔法士見習いLv3 【神に抗う者Lv1】(隠蔽済)
HP:200
MP:105
SKILL:アイテムボックス 鑑定 解体 隠蔽 神々の寵愛 【邪神の寵愛 邪竜の寵愛 邪竜の加護】(隠蔽済) 運の女神の加護
何か知らん間に色々増えてるし……。




