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ナナイロシチヘンゲ  作者: タイヘイタ
1章:生存権の確保
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10


あれこれ考えても分からない。木の事は一旦脇において、今できる事を考えよう。と思ったが、腹が減った。


思えば昨日は狼を半身食べただけだし、今日は起きてから何も食べていない。食べ物でも探しに行くか。木から森に向かって全速力で走った。


一応、刀は持っていく。変化の力が刀由来だと分かった以上目の届く所に置いておきたい。無くしたらマジで死活問題だしな。


今は別の問題に直面している訳だけど。近くに俺よりも弱くて食べ応えのあるヤツいねぇかなぁ…昨日みたいに弱ったヤツみたいな。


そんなモノが運よく転がっている訳もなく、しばらく歩いても弱ったヤツどころか動物に出会わない。匂いを嗅いでも草木の香りだけだ。


そしてそのまま森を抜けて川岸に出た。そう言えばあったな。川なら魚がいるかも知れない。そんな淡い期待を抱き川に近づいた。


魚は…いた。いたがコレはダメだ。見える範囲には小魚しかいない。川の中央付近に行けば違うのかもしれないが。


そもそも魚がいたとしてどうやって捕るつもりだったんだ。素手か?無理に決まっているだろう。そんなに俊敏には動けない。


魚が捕れないならここにいる意味はないのだが、何もせず帰るのは癪に障る。水浴びしていくか。ノミと臭いを落とすためにも。


川の浅い所で転がった。この姿で泳げるか分からないし。確認するのはメシを食べてからだ。今は無駄に体力を減らしたくない。


さんざん転げ回り川から上がる。身体を揺らして水気を飛ばした。今日は晴れてるし歩いている内に乾くだろ。


刀を銜え直し森に戻る。これだけ大きな森なんだから動物が全くいない訳ない、と思いたい。あ、少なくとも狼はいるか。


でも、狼には会いたくないんだよなぁ…アイツらって大体が群れで行動してるし、昨日みたいに囲まれるのがオチだ。


なんとか今日中に食べ物にありつければいいだけ、ど…今まで嗅いだことのない臭いが前方から流れて来た。何とも言えない独特な臭い。


動物か?臭いは1つしか感じられない。同じ種類の動物が何体もいるのか、1体しかいないのか。それは分からない。


ただ、近づいてみる価値はある。風下にいる今がチャンスだ。音をなるべく立てないようにして臭いを辿る。


臭いの元にはすぐに着いた。ウサギがいた。茶色いウサギだ。何かを食べているのか、しきりに頭を動かしている。


俺には気づいていない様だ。周りには何もいない。ウサギだ。子どもとはいえ狼の俺に勝てる訳がない。もう我慢できない。


ウサギに跳びかかった。音に気づき振り返ろうとするが遅い。首に狙いをつけて噛みついた。それだけでは殺すに至らない。


ウサギは頭を振り必死に抵抗する。無駄な足掻きだと思っていたが鼻先に痛みが走った。急な痛みにウサギを離しかけた。


離せば逃げられる。考えるよりも速く顎に力を入れ口を閉じた。痛みの原因を確かめている暇はない。頭を振りウサギを地面に叩き付けた。


口の中で骨が砕けるのを感じた。ウサギは動きを止め静かになった。傷をつけられたが初めての狩りは成功した。

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