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ナナイロシチヘンゲ  作者: タイヘイタ
1章:生存権の確保
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眩しさを感じ目を開けると陽の光が洞の穴から差し込んでいた。上半身だけ起こし伸びをして凝りを解す。硬い所で寝たから節々が痛い。


刀を持ち洞から出た。陽の光を身体全体で浴びる。陽の傾きからまだ朝だと分かった。だとすれば、アッチが西だ。


いや、ここは異世界だ。太陽が西から昇っているとは限らない。東から昇っているかも。まぁ、地図もない状態で方角を知った所で意味はないけど。


迷子になった時の指標にはなるか。とと、また思考が脱線した。ダメだな。今はいいけど戦闘の時に思考が乱れたら殺されてしまう。気を付けないと。


さて、思考を戻そう。刀を持って洞から出てきたのには理由がある。現状で出来る事の確認だ。昨日みたいにならない為にも。


一度、刀を木に立て掛けて離れる。木と森のちょうど真ん中あたりで止まった。頭の中で強く狼になりたいと念じた。


暫く経っても狼になる予兆は現れなかった。念じながら刀に近づいて行く。まだなれない。まだ。まだだ。


刀に手が届く距離にまで来ると漸く狼になれた。人間に戻りその場に胡坐をかいた。変化の有効範囲は手が届くところまでか。


範囲は狭いけど必ず持っていないといけない訳ではないのが救いか。あと気になるのは昨日の奇妙な感覚か。


刀の大凡の場所が分かったあの感覚。狼の嗅覚で探し当てたんじゃなくて、導かれるようにして刀の元にたどり着いた。


刀を木に立て掛けたまま狼になる。いつもの嫌なモノを感じながら木から離れ森の中に入った。振り返り木の方を見る。


刀は見えないがあそこにあると感じられた。さらに森の中を適当に目を閉じながら歩く。時々木に身体をぶつけながら歩いた。


目を開けると全く見知らぬ場所に居た。狼の帰巣本能が働いたのか、家(木)がある方向が何となく分かった。


それとは別に刀のある方向も感じられた。どちらも同じ方向だ。この実験だけでは狼の身体が凄いのか、刀に居場所を知らせる能力があるのか、が分からない。


他の感覚が鈍いヤツで実験できればいいんだけど。ああ、そうだ。刀で変化できるのは狼だけなんだろうか。それも試さないと。


一先ず感覚に従い木の元に戻った。木に近づくごとに嫌な感覚が強まるのは変わらない。刀を銜え急いで洞の中に入った。


入った瞬間に嫌な感覚はきれいさっぱりなくなった。あれ、なんでだ?神聖な気がなくなったのか?身体を穴から出すといつもの感覚が襲って来た。


穴の中に戻るとその感覚は消えた。マジでなんでだ。木の中だけはナニモノでも居心地のいい環境になっているのか?


周りは魔物を排除する気を放っているのに。とんだ身内贔屓な木だな。己の体のに入ったモノだけを贔屓・・する木。ミウチビイ木。


こりゃ上手い。座布団一枚持ってきて。アホな事を考えてないでちゃんと考えるか。でも、割とその通りだったりして。


狼の身体で崖から落ちた時に左半身が動かせない程に負傷していたはずなのに、刀を探しに起きた時には普通に動かせていたし。ちょっと痛かったけど。

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