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少女との出会い

 

 ――スキルポイント10。


 殆どのスキルが取れてしまうくらいポイントがある。

 しかし、もしもの保険の為に5ポイントは取っておきたい。

 今回使うのは残りの5ポイントくらいにしておこうか。


 これだけでも五つはスキルが取れる計算だ。

 さて、どうしようか。


 数分の間、熟考する。


 しかし、やっぱり後で考えようという結論に達した。


 コボルトとキュクロプスの戦いで忘れかけていたが、今やるべきは当初の予定である食料と武器の確保だ。


 食料はいくらあっても困らないし、武器は出来るなら今使っている鉄パイプよりも丈夫で殺傷性の高いものが望ましい。


 取り敢えず、最初の目的地であるスーパーに向かう。

 とは言ってももうすぐそこにあるのだが。


 そういえば、左腕を怪我した状態でどうやって食料やらを運ぼうか……と考えていると左腕に違和感、というかさっきまで感じていた確かな痛みが無くなっていた。


 袖をまくって確認すると、狼に噛み付かれて風穴が開いていた左腕が見事に完治していた。


 これには驚きの表情を隠せなかった。


 ――もしかして『自己治癒』のスキルのおかげなのか?


 というよりもそれしか考えられない。


 なんて有能なスキルなんだ。

 これなら怪我を気にしないで戦える。


 痛いには痛いが、すぐに治るなら大丈夫だろう。


 このスキルのお陰で自分の戦闘スタイルを確立できそうだ。


 少し、実験してみようか。


 一体の狼――ウォーウルフが目に入った。


 ちょうどいい、こいつで実験するとしようか。


 ウォーウルフが此方の存在に気づいた。

 警戒しているようで、グルルルと喉を鳴らしながら俺を睨みつけてくる。


 そういえば取得したまま一度も使っていない魔法があったんだ。


 俺は[暗闇]と[暗視]を発動させる。


 自身の周囲大体十メートル程度に暗闇が生まれる。

 しかし、俺の視界はクリアなままだ。

 これは[暗視]の効果。

 文字通り暗い場所でも目が見えるようになるものだ。


 ウォーウルフは突如展開された暗闇に戸惑っているようだ。

 狼という種族上、暗闇には慣れているかもと思ったが、やはり急な環境の変化には戸惑うようだ。


 この間に[影縛]を発動させ、[暗闇]を解除。


 次は[影縛]の持続時間を測ってみるか。


 必死に影の拘束を振り解こうとするウォーウルフを尻目にスマホのタイマーを起動させる。


 結果として[影縛]を持続していられる時間は五分程度であるというものだった。


 しかし、筋力値の高い相手ならこの[影縛]を破壊するものがいるかもしれない。


 [影縛]に頼りすぎて慢心しないよう十分注意はしておこう。


 ウォーウルフはもう相当体力が削られている様子。

 だが、いまだ敵意は消えていない。


 そうだ、『自己治癒』のスキルの効果も確かめておきたいな。


 俺はウォーウルフに近づき――左腕を差し出した。


 元々敵意全開だったウォーウルフは躊躇も何もなく俺の左腕に噛み付いた。


「[雷球]発射」


 ゼロ距離で雷球をぶち込む。

 頭蓋に直撃したそれは頭部を抉り飛ばした。



 《固有スキル:『復讐』が発動しました。

 対象から一つスキルを奪取出来ます。選択してください》


 また、頭に直接謎の声が響き渡る。


 奪取可能スキル一覧



 固有スキル 


 スキル

『痛覚耐性』Lv.3


 魔法


 ――


『痛覚耐性』を選択。

 いや、選択というよりこれしかないのだが。


 《対象からを『痛覚耐性』奪取しました》


 《同スキルが重複した為自動的に統合されます》


 ステータスを開くと元々レベルが6だった『痛覚耐性』が7まで上昇していた。


 なるほど、自分が既に持っているスキルを奪ったとしてもその分は経験値として還元されるらしい。


 ふと左腕の様子を見る。

 もうすでに傷の治癒が始まっている。


 まるで再生でもしているように傷が治っていく。


 一分二分の間で本来なら重傷と言える傷が完璧に塞がった。


 実験は終了。

 結果も上々。


 俺が傷を負っても大丈夫だとわかった。

 これが一番の収穫だろう。


 筋力値や敏捷値が低い俺は近接戦を行うには

 無理がある。

 だが、耐えることは出来る。


 耐えている間に魔法を発動できれば俺は多分負けない。

 俺以上に魔法が使える奴がいなければ……だが。


 ◆


 あれから五分ほど、魔物に遭遇することもなくスーパーについた。


 だが、これは少し予想外だった。


 スーパー周辺や駐車場には全くいなかったが、スーパーの内部に大量の魔物を確認した。


 しかも、貴重な食料を食い漁っている。


 パッと見ただけでもウォーウルフとコボルトが十匹づつくらいはいるな。


 スーパーの中には百匹位はいるかもしれない。


 スーパーでの食料調達は諦めるか……とおもっていたが、そうならずに済むかもしれない状況が舞い降りてきた。


 スーパーの中に人影を発見した。


 数は六。

 男女三人づつの構成だ。


 中の魔物たちを間引いてくれているようだ。

 関わるのは面倒だから、ある程度食料をいただいたらさっさとずらかろう。


 俺はスーパーに入っていく。


 ウォーウルフやコボルトを見つけるたびに『雷球』を発動させて、殲滅する。


 食料は出来るだけ日持ちするものがいい。

 ドライフルーツや干し肉、調味料から缶詰、カップ麺、レトルト食品をカバンに詰め込む。


 これで一月はもつ……と思う。


 次のホームセンターに向かおう、と思っているとさっきの人影の主だろう者たちが六対三という人数差でコボルト相手に苦戦していた。


 勿論六が人間、三がコボルトだ。


 全員、年は俺と同じか少し下ぐらい。

 高校生か?


 よく見て見ると全員同じ制服を着ている。


 見たことのある制服。

 確か、ここら辺じゃ有名な進学校だったはずだ。


 正直全員対して強くはない。

 剣や槍などの大層な武器を持っているようだが、屁っ放り腰でコボルト相手にもかすりもしていない。


 わざわざ助けてやる義理はない。

 助けたところでこのザマじゃすぐに死ぬだろう。

 ――と思っていたが、一人だけまともに戦えている奴がいた。

 しかも、女。


 両手に盾と剣を手に、他の五人を庇いながら戦っている。

 このパーティが全滅していないのは彼女のお陰といえるだろう。


 更に戦闘力が高いのもそうだが、彼女の容姿はとても目立つ。

 綺麗な顔立ちに肩で切り揃えられた金髪、クリクリとした可愛らしい透明度の高い碧眼。


 今まで見た中で一番綺麗だと思った。

 だが、俺には一生縁がないような人種だ。


 じっと見つめていたからだろうか、女は俺に気づいたようでこちらに視線を向けた。


「あ、あの! お願いです、手を貸してください! このままだと……」


 面倒な……。


 このままでも全滅とまではいかないだろうが、幾人かの人死にが出ると危惧したのだろう。


「仕方がない……か。少しだけ手伝ってやる、そのままそいつらを抑えていろ」


 面倒ではあるが、恩を売るくらいは出来るかな……。

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