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初めてのラブホテル

ランキングを見たらありがたいことに日間ランキング17位になっていました。


 

「[雷球]いけ!」


 詠唱。

 そして、射出。


 コボルトの顔面に着弾する。


 狙い通り。まずは一体。


 普通のコボルト程度であればもう『雷球』一発で事足りるようだ。

 当初と比べると少しだけ威力が上がったように思える。

 もしかしたら一つ一つの魔法にも見えない熟練度のようなものがあってそれに応じて威力が上がっていくのかもしれない。


「す、すごい。これってもしかして……魔法?」


 少女は感嘆の声を漏らす。

 他の五人も驚いている様子が見て取れる。


 もしかして魔法が使える人をまだ見たことが無いのかもしれない。


 世界がこんな状況になってまだ二日目、何もおかしいことはない。


「おい、まだ終わって無いぞ」


「え、あ、はい!」


 金髪の少女は剣と盾を構え直す。

 これがまた様になっている。


 何か剣術みたいなのを習っていたのかもしれない。


「[雷球]更にもう一発[雷球]」


 仲間の一体がやられて呆然としていた残りの二体のコボルト目掛けて[雷球]を放つ。


 棒立ちになっていたので、当てるのは非常に簡単だった。が、しかし。


「まだ死んで無い!?」


 当たりどころが良かったのかフラフラになりながらも生き延びていた。


「はやくトドメをさせ!!」


 少女は俺の危機迫る声にびくりと肩を震わせ、判断が遅れた。


 死に損ないのコボルトが少女へと剣を振るう。


 少女は咄嗟に盾を構える。


 しかし、威力を殺しきることはできずに尻餅をついてしまう。


「あ……」


 殺される――命の危機を感じた事による恐怖で身動きが取れなくなってしまったようだ。


 少女以外の五人は固まって動けなくなっている。

 今は俺がなんとかしなければ彼女は死んでしまうだろう。

 それはなんとなく目覚めが悪い。

 レベルアップのお陰でまだまだMPは底を尽きそうには無いが、無尽蔵にあるわけでは無いのだ、それにこの後やらなければいけないこともある。

 できればあまり使いたくはなかったが、今更それを言ってもしょうがないか……。


「[雷球]」


 少女にコボルトが剣を振り下ろそうとしているその時俺の魔法が火を吹いた。


「これで流石にもう死んだだろ……。おいアンタ大丈夫か?」


「え、あ、あの……。えっと、ありがとうごいました! 助けていただいて。でも、すみません。私たち、今はお礼出来るような物は何も持っていなくって……」


 死の危機から脱して直ぐに正気に戻ったようだ。心が強い、と思った。


 少女はお礼出来るような物が無いと言うが、そもそもそんな物には期待していなかったので、気にしないよう言っておく。


「でも、それだと申し訳ありません。……あ、そうだ! それなら私が貴方の物になります。……それじゃあだめですか?」


 頬を赤らめて、上目遣いでこちらを覗き込んでくる。


 可愛いが、あざとい。

 しかも怪しい。


「いや、それは駄目だろう。さっきの戦闘を見る限りこのチームの主力はアンタだろ? アンタがいなくなったら他の五人は直ぐ死んでしまうかもしれないだろ。本当に御礼はいらないから」


「うっ! い、いやでも……」


「それじゃ!」


 渋る少女を無視して俺は荷物を持ってスーパーを走り去る。

 後ろから「まってくださいぃぃぃ」と言う声が無視だ。無視無視。


 ◆


 まったくもって面倒なことをした。

 MPも結構な量を消費してしまった。


 ステータスを見てみると。


 MP :200/420(60)


 あれだけあったMPは半分を切っていた。


 俺には魔法以外にまともの戦闘手段が無いため攻撃する時に必ずMPを消費しなければならない。

 その為、MP消費量が多い。


 ホームセンターで必要なものを揃えたら直ぐにでも拠点に戻るのがいいだろう。


 ここからホームセンターまでの距離は大体四〜五キロ程度だったか?

 一応道は覚えているので迷うことはないだろうがそれでも一時間いや、魔物との戦闘も考慮すると二、三時間は掛かるかもしれない。


 そう考えると時間を無駄には出来ない。


 俺は体力がなくならない程度に早足で目的地へと向かう。


 二時間後、未だに半分くらいの距離しか進んではいなかった。


 それもこれもウォーウルフやコボルトがわんさか溢れ出てくるせいだ。


 というかもうここら辺ではその二種類の魔物しか見ない。縄張りみたいなものがあるらしい。


 更にMPはもう底をつきそうだ。


[雷球]や[影縛]もあと二、三回が限度だろう。


 何処かで休んでMPを回復させたい。

 そう思って歩いているといつのまにか狭い路地裏いた。


「え、なんで?」


 最悪だ。と思っていたが、運は俺に味方した。


「あ、あ、あれは伝説のラブホテル……初めて見た……」


 俺は人生で初めてのラブホテルに入ることにした。

 ……一人で。


 当たり前だが、受付に人は居なかったので、勝手に鍵を拝借して適当な部屋に入った。


「へぇー、結構広いんだな。それに清掃も行き届いてる」


 シャワーや冷蔵庫なんかもあり、中には飲み物もあった。

 本来は有料みたいだが、この際貰っても文句は言われないだろ。


 MPが回復するまではここで厄介になるかな……。









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