クエスト初達成
いつのまにか10,000PV!
「う、ん……」
人が三人は寝転がれるサイズのベッドからのそり、と起き上がる。
時刻は午前八時。
いつもよりも二時間は遅い起床だ。
俺は未だに襲ってくる眠気に抗いながら洗面所へと向かう。
バシャバシャと水で顔を洗い完全に目を覚ます。
濡れた顔をタオルで拭いながらベッドに腰掛け、ステータスを開く。
MPは完全に回復しているのを確認したら腹の虫が煩いくらい鳴り響いた。
そういえば昨日は夜ご飯を食べて居なかったな。
本来ならもっと栄養のあるものを食べたいところだが、朝食はホテルにあったジュースと昨日スーパーから持ち出したインスタント食品になる。
インスタントは凄く美味しいと言えるものではなかったが、不味いということもない、かなり微妙な味だった。
朝食を食べ終わるともうここには用はないのでサッサと引き上げる準備に入る。
まあ準備とはいっても鞄から出したものをまた詰め直すだけの簡単なものだったが。
まだ午後九時前と早い時間だが、行動を開始することにした。
ラブホを出ると強烈な陽光が俺の目を刺激する。ホテル内はそういう系の目的が主である為微妙に薄暗かったので急な強い光に目をやられてしまったようだ。
昨日の朧げな記憶をたどって道を歩く。
なんとか裏路地を抜けて大通りに出ると、やはりというべきかコボルトが待ち構えて居た。
数は四。
認識と同時に[影縛]を発動。
コボルト達を拘束しようとする。しかし、掛かったのは二体だけだった。
他の二体は剣を片手に敵意を剥き出しにして襲いかかってくる。
すごい迫力だ。
でも、まだどうとでもなる。
[暗闇]と[暗視]を発動させる。
俺を中心に暗闇が広がっていく。
コボルトもこの異様な光景に立ち止まって困惑している。
――隙だらけだ!
俺は[影縛]を更にもう一度発動させると、MP消費を抑える為に鉄パイプで四体のコボルトを殴り殺す。
生き物を殴り殺す感覚は最初はちょっと気持ち悪かったが、もう慣れてしまった。
まだレベルアップのアナウンスは流れない。
レベルが7まで上昇したから必要になる経験値も多くなったのだろうと推測できる。
殺したコボルト達の遺体をそのままに最初から戦いになった不運を嘆く。
「はぁ、着くまでにあと何回戦闘が待っているんだか……」
元々多くない体力はレベルが上がって多少はマシになったが、直ぐに疲れが出てくる。
重いため息を吐きながらまた、ゆっくりと目的地に向けて足を動かし始める。
◆
結局、ホームセンターに着くまでに朝から歩いて四時間。
午後一時に到着した。
倒した魔物は最初の四体を除いてコボルトが三体。ウォーウルフは六体だ。
「あれ……」
そういえばウォーウルフを討伐する"クエスト"なんてのがあったな、と思い返す。
メニューからクエストを開く。
――
第1クエスト:達成済み
達成条件:ウォーウルフ10匹の討伐
達成状況:18/10
報酬:ランダムにスキル一つ
――
《第1クエストの達成を確認しました》
《報酬としてランダムでスキルが付与されました。ご確認ください》
なるほどクエストはちゃんと確認しないと報酬はもらえないらしい。
新しくクエストのルールを頭に入れ、次はステータスを開く。
スキル
『痛覚耐性』Lv.6
『恐慌耐性』Lv.7
『精神耐性』Lv.6
『疲労耐性』Lv.5
『毒耐性』Lv.2
『火耐性』Lv.3
『物理攻撃耐性』Lv.6
『観察』Lv.9
『魔力操作』Lv.2
『自己治癒』Lv.8
『鑑識眼』Lv.1
――
新しく俺のものとなったスキルは『鑑識眼』
効果としては俺が目で見た対象のステータスの閲覧、更に物品の鑑定まで可能というかなりの良スキルだ。
まあ、まだレベルが低いのもあって何かしらの不便さはあるだろうがそれでも相手のステータスを知ることができるのは相当なアドバンテージになるはずだ。
ランダムで手に入るスキルでこれが手に入ったのは本当に運が良かった。
まさかの幸運に変なテンションになりながら俺はホームセンターに入っていく。
中からは魔物がいる気配は感じられない。
食べ物など魔物が欲しいと思えるものが無いからだろうか……?
俺はこの時、無意識にも警戒を薄めてしまっていた。
よく考えれば気づけたはずだった。
魔物がいないからこそ警戒しなければいけなかった。
――人間という存在を。




