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親殺し

「はぁはぁはぁ……」


 荒い吐息。

 夫婦同士での決闘。

 結果は言うまでもなく母の勝利。


 その手に持った短剣を赤に染めて、達成感に満ち溢れた表情を晒す。


 でも――


「まだ死んでねぇな」


 男はまだ生きていた。


「[闇弾]」


 なんの感情も含まれていない無機質な声で紡がれた詠唱。

 翳した右手から闇の弾丸が射出され、眉間に直撃。

 一連の動作に躊躇などかけらもない。

 息を吸って吐くのと同じように自然な動き。


 当然、男は……父親は死んだ。


 そして


 《固有スキル:『復讐』が発動しました。対象から一つスキルを奪取できます。選択してください》


 奪取可能スキル一覧


 固有スキル 


 ステータス

 ――黒乃 浩二


 職業:魔法師

 レベル:10


 スキル

『詐術』Lv.4

『魔力操作』Lv.2

『MP増強』Lv.1

『魔力強化』Lv.1

『魔力回復』Lv.2


 魔法

『重力魔法』Lv.3

 [重玉]

 [加重]

 [軽減]

 [重弾]

 [過重]

 [浮遊]


 ――


 《重ねて固有スキル:『魔法簒奪』が発動しました。対象から魔法を奪取しました》


 これで『重力魔法』を獲得。

 一覧から『重力魔法』の名前は消えているのを確認。


『魔力操作』、『MP増強』、『魔力強化』、『魔力回復』どれもこれも既に持っているスキルだ。

 とはいえ『詐術』なんてものが欲しいわけではない。


 ならMP量の強化のためにと『MP増強』をいただく。

 新しいスキルは手に入らずとも既存のスキルの強化にはなるのだから。


 黒服達は鈴華と綾辻の手によって既に排除済み。父親はこの手で殺した。

 残るは……


「アンタだけ……だな」


 険のある目つきで女を睨みつける。

 もうこの生き物が母親であると認識したくもない。


「な……なんでよ!? 勝った方を助けてくれるんじゃないの!?」


 なんのことだったか……と首を捻り、そういえばあの男には勝ったら解放してやる、という約束をしていたなと思い出した。

 まあ、最初から助けてやるつもりなど毛頭なかったのだが。


 ――それより


「あの男には勝ったら解放する……とは言った。でも、アンタにそれを言った覚えはないが?」


 女は唖然として口が半開き状態。


「ふ、ふざけないで!! 誰がアンタをここまで育ててきたと思ってるの!? 息子なら私を守りなさいよ! なんで、なんで私が殺されなきゃいけないの!?」


 放心状態が治ったと思った途端これだ。

 怒涛の罵倒。

 これが俗に言う老害というやつなのだろうか。

 これはたしかにうざい。


 そもそもの話、


「俺の脳内にアンタにまともに育てられた記憶は残っていないな」


 俺が本当に小さい頃。

 物心つく前はちゃんと育ててくれていたのかもしれない。

 だが、俺が知っている範囲でこいつが何かしてくれた記憶など数えるほどしかない。

 そのせいで五、六歳になる頃には家事を覚え始めていたくらいだ。


 ちなみに家事を教えてくれたのは当時近所に住んでいた気のいいおばさんだ。

 この人は俺が虐待されているとは知らず、母親の手伝いをしたいがために習っているのだと思っていたらしい。

 俺も特に訂正はしなかったため、気付かなかったのだろう。


 とはいえ、あの人のことは本当に尊敬しているし、感謝もしている。

 このクソ女と違ってな。


「俺の中でテメェらは殺す以外の選択肢なんてないんだよ。最初っからな」


 吐き捨てるような冷徹な声音が静寂を生む。


「テメェにはもう何を言っても無駄だろうよ。せめてもの贖罪としてせいぜい苦しみながら死んでいけ」


 女は目を潤ませて、イヤイヤと延命を懇願。

 けれども俺の心は微動だにしない。

 今の俺の思考の大半を占めるのはこの女の殺し方。

 どんな苦痛をもって殺してやろうか、と頭を悩ませる。


「そういや、さっきこんなスキルを手に入れたのを忘れていたな」


『痛覚倍加』と『毒性体』。

 この二つのスキル。

 どちらも拷問等に役立つスキルといっていい。

 そして、今回も有用なスキルとなること間違いない。


「まずは、こいつだ」


 震える女を対象として『痛覚倍加』を発動。

 これで感じる痛みは倍になったわけだが、その反応はどうだろう。

 試しに魔刀で軽く肌に刃を通す。

 普段ならそこまでの痛みではないだろうが……


「いったぁぁぁぁいぃぃぃぃ!!」


 絶叫。

 それと同時に顔全面を苦悶の表情で埋め尽くす。

 演技……という印象は見受けられない。

 額には大粒の汗が吹き出して顔色はだいぶ悪くなっている。


 効果は絶大……と。


 なら、さらにここに『毒性体』のスキルも追加してやろうじゃないか。


 このスキルは自身の体液を毒に変える、というものなのだが。

 このスキルの真価は自分の知っている毒ならどんなものでも生成できる、というものだ。


 今回俺が使うのは即効性があり、身体全体に回るまで時間のかかる毒。

 これでじわじわと恐怖を感じさせながら殺してやろう。


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