『重力魔法』
今日はクリスマスだぜ!
という事で、一気に3話連続投稿します!
上から押し潰すかのような重力の枷を体に纏った銀のオーラを全開にすることで対抗する。
「くっ……お、らぁぁぁぁ!!」
眩い銀光が部屋中を奔流。
体が燃え上がるような熱を持ち、次の瞬間体への過剰な負荷は取り除かれた。
キッと目を細めて睨みつけ、油断なく『鑑識眼』を発動。
ステータス
――黒乃 浩二
職業:魔法師
レベル:10
スキル
『詐術』Lv.4
『魔力操作』Lv.2
『MP増強』Lv.1
『魔力強化』Lv.1
『魔力回復』Lv.2
魔法
『重力魔法』Lv.3
[重玉]
[加重]
[軽減]
[重弾]
[過重]
[浮遊]
――
レベルは俺たちの方が圧倒的に上。
警戒に値するのは『重力魔法』のみ。
なら――
「はあぁぁぁぁ!!」
銀のオーラを下半身に集中。
膨れ上がった脚力でもって接近。
見た感じ近接戦に適したスキルもない。
ならば距離を詰めるのが最善手。
手に持った“魔刀 黒薔薇”を強く握りしめて勢いそのままに疾駆しながら横薙ぎに振るう。
が、しかしそれは横から飛び出してきた黒服の男によって防がれた。
防がれた……といったもクソオヤジの代わりに肉盾になった、と言うのが正しいだろう。
決死での守護。
黒服にとってそれは忠誠の証であったはず。
だが、あのクソにとってそんなものは路傍の石も同然。
くつくつと嘲笑を浮かべるのみ。
そこに侮蔑以外の感情は含まれてはいない。
――やはりクズはクズだ。
俺は右腕を突き出す。
それを真似るようにクソゴミオヤジも右腕を突き出す。
魔法の発動態勢。
「[闇弾]!!」
「[重弾]!!」
魔法は同時に発動。
しかして結果は――
闇で構築された高速の弾丸は突き出された右腕を抉り、しかし重力の弾は銀のオーラを全開にした俺にはかすりともしなかった。
「ぐっ……くそっ! この、親不孝者が! さっさと死ね!」
さっきまでの落ち着いた丁寧な口調は儚くも崩れ去り、破れかぶれに魔法を発動していく。
[加重]、[重玉]、[重弾]、[過重]、どれもこれも素晴らしい威力。
惜しむらくは使い手がこいつだったことくらいなものだろう。
飛び交う魔法を捌きながら冷静に分析する。
鈴華と綾辻にも流れ弾が行っているようだが、被弾している様子はない。
「もうそろそろ、終わらせる」
再び下半身に銀光を集中。
更に『身体強化』と[加速]でバフをかけて、特攻。
襲い来る魔法の数々に怯むことはない。
銀のオーラがその身を守る。
紫電一閃。
魔刀が煌めく。
全力で振り切った魔刀は俺の魔法による負傷でダラリと下がったままだった右腕を根本からバッサリと断ち切った。
勢いよく血が噴出。
肩を押さえ、涙ながらに止血を試みるゴミクズだったが――そんなことをしている暇があるとでも?
静かに恐怖を煽るように歩み寄り、追撃の一閃。
今度は左腕を飛ばした。
これでもう、抵抗する術は無くなったわけだ。
「あ……や、やめっ! お、お願いします……助けて!」
尻餅をつき、両手をなくし、ボロボロと零れ落ちる涙を拭う手段すらも持たないゴミに俺は救いの手を差し伸べてやることに。
「そう、だなぁ。なら一つ、条件を出す。それがクリアできたらアンタを解放してやるよ」
「じょ、条件……?」
涙は未だ止まらず鼻声で聞き返す。
正直不快極まりないが今はまだ我慢。
「ああ、なに条件っていっても簡単なもんだ……そこの女を殺せ。ただそれだけだ」
そこの女。
この場合は俺の母親、こいつにとっては妻となるのだが。
さて、反応は――?
「そ、それだけで、いいんだな? それができたら本当に助けてくれるんだな?」
「ああ、勿論だ」
声は震えてる。
しかし、その表情には安堵の色。
つまりなにが言いたいかというと、こいつはやはりクズだったということだ。
それにしても、両腕が無いというのにどうやって殺そうというのか……見ものだな。
クソオヤジは血がとめどなく溢れる両の腕を気にしながらもなんとか立ち上がると母親――クソババアのもとまで足を進める。
だが、そのババアも俺との会話を聞いていたのだからなんの抵抗もしないわけがない。
怯えの表情を浮かべながらも腰に隠し持っていた短剣を慣れた手つきで構える。
『鑑識眼』でステータスを覗き見るが特に目立ったスキルはない。
本来ならばクソオヤジの圧倒に終わるだろう。
本来ならば。
「こ……こっちに来るな! 来たら……殺す!!」
魔法を発動するには手を翳すことで目標を捉えるという動作がどうしても必要になる。
だが、今のオヤジにはその手が両方ともない状況。
であれば、どうなるか……
「死ねぇぇぇ!!」
飛び出す中年の男。
「お前が死ねぇぇ!!」
一振りの短剣を手に対抗する中年女。
醜い戦い。
そしてその勝者は――




